シュンキンドウショテン
春琴堂書店
京大正門前(旧・東一条)バス停そばにある本屋さん。店名からお察しのかたもあるでしょう。谷崎潤一郎ゆかりの店です。
『細雪』に「お春どん」の名で、また『台所太平記』には「はる」の名で登場する「女中」さん(=お手伝いさん)。どちらの小説においても、コミカルだけれど頼りになる女性という役回りを演じています。そのモデルになった実在の女性が、久保一枝さん。戦中から戦後にかけて、谷崎家でじっさいに女中として仕えた人です。
戦後、久保一枝さんが夫と本屋を開くことにしたとき、谷崎氏が『春琴抄』にちなんで、その店を「春琴堂」と名付けました。店内の壁の上のほうに谷崎氏の揮毫した店名の額が掛かっています。
数年前ひょんなことから「クボさん」という、見たところ私とあまり歳の違わなそうな男性と、おしゃべりする機会がありました。本屋とは全然べつの場所でのことです。話をするうち、じきに分かりました。このミスター・クボは、一枝さんの孫にあたる、現在の春琴堂店主(「若旦那」といってよいのか?)だったのです。
私は春琴堂書店の存在じたいは、ずっとまえから知っていました。店名もおぼろげながら、記憶にありました。いっぽう谷崎氏の小説の数々は、日本文学のなかで私がもっとも親しんだ作品の部類に入ります。谷崎夫妻の眠る法然院のお墓に一度ならず参ったこともあります。しかし、谷崎氏を直接知っていた人の末裔に会うことがあろうとは、予想しませんでした。ミスター・クボからは、谷崎氏と久保家のかかわりについての興味ぶかい事実も聞きました。しかし、久保さんのプライバシーにもかかわるので、ここには書きません。もし私なんかでなくて谷崎文学の研究者だったならば、通り一遍の会話を超えた、もっと貴重なお話を聞きだすことができたでしょう。
京大生のほとんどは、大学生協に加入していて、本や雑誌を生協で1割引で買っています。生協書籍部は春琴堂書店から目と鼻の先なので、久保さんの商売が生やさしいものでないことは明白です。しかし、谷崎氏や「お春どん」=一枝さんは、家業の行く末を、どこやらで見守っていることでしょう。
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追記:2005/02/24
画像右側、通りの向い側に見えるのが日本イタリア京都会館。このビルの1Fに「サンシャインカフェ」(↓カヌー犬さんの登録KWリンク)があります。
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追記2(訂正と補足):2005/02/28
上記のミスター・クボは、一枝さんの孫にあたる――というのは正しいです。が、春琴堂「店主」ではなく、「店主の息子さん」でした。一枝さんの息子さんにあたる「現店主」はご健在です。たいへん失礼しました。
谷崎氏直筆の額は、
┌─────────────┐
│ 店 書 琴 春 │
│潤 │
│一 │
│郎 │
│ │
│書 │
└─────────────┘
と横長、右→左書きで、1階正面の本棚の上の方に掛けてあります。なぜか「堂」の字は抜けています。
最後に大事なことを1点。この本屋さんは、その名に恥じず、谷崎氏の文庫を絶版/品切れのものを除いて全巻、常に揃えている全国でも稀な小書店です。
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↓神田さんの『東京紅団』《谷崎潤一郎散策》
「谷崎潤一郎の京都を歩く」
http://www.tokyo-kurenaidan.com/...
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住所:
京都府京都市左京区吉田牛ノ宮町3
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- 電話番号: 075-761-1106
- 2005/02/28更新
- 2005/02/18登録
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