龍の子太郎
松谷みよ子(1926年2月15日生まれ)の作品。わたしが持っていた本は、『龍の子太郎』と『ふたりのイーダ』が一緒に入っていた。今考えると、すごく重い組み合わせ。(『ふたりのイーダ』は広島の原爆を背景にした話だった筈。)
テレビの「日本むかしばなし」のタイトルクレジットの時に、龍にのった男の子のアニメがうつされるのは、きっとこれ。わたしが生まれてはじめて映画館で見たのは、これの映画化(1979年)だった。♪南の風よ~ドンと吹け~♪という歌まで覚えている・・・ような気がするんだけれど、実は勘違いだったりして。
以下、ネタバレ注意!
【いきさつとあらすじ】
山の奥の貧しい村に「たつ」という娘がいました。「たつ」は一人娘だったので、ばあさまはきこりの又平に婿に来て貰いましたが、又平は山で仕事をしている時に足を滑らせて谷に落ちて死んでしまします。「たつ」のお腹にはすでに赤ん坊がいました。そんなある日、「たつ」は村の当番として山へ仕事に行きました。村の衆は「たつ」が身重だからと一番楽な飯炊き番にしてくれ、「たつ」は食事の用意の為に川へ水を汲みにいきます。すると水の中に三匹のイワナが泳いでいるではありませんか。「たつ」はイワナを夢中で捕まえ、これで村の衆の晩のおかずができたと、彼らの喜ぶ顔を思い浮かべながらイワナを焼きます。「たつ」はその頃、身重なために何を食べても喉を通らない状態でした。それがイワナの香ばしいにおいには気が狂うほど腹がすいてきます。一匹だけなら、村の衆が食べる時に自分が食べなければいいのだ、と自分に言い聞かせてイワナを食べてしまう「たつ」でしたが、一匹食べるともう我慢ができなくなって、三匹みんな食べてしまうのでした。そして、自分のことしか考えることができなかった「たつ」は龍にかえられてしまうのです。(その貧しい村には、三匹のイワナを食べたものは龍になるという言い伝えがありました。)
娘を探しにいったばあさまは、大きな沼を発見し、龍になった娘に赤ん坊をよろしくと頼まれます。しばらくして、ばあさまが川で野菜を洗っていると、「たつ」の半纏にくるまれた赤ん坊が流れてきます。赤ん坊は水晶のような玉を手にもっていて、これが「たつ」の乳のかわりでした。その玉をしゃぶり尽くしてしまうと、赤ん坊は泣きじゃくって他に何も食べません。困ったばあさまは太郎をおぶって「たつ」のいる沼へとやってきます。すると「たつ」だった龍は、もうひとつ玉を差し出すのでした。「たつ」の二つの目は閉じられ、目が見えなくなっていました。
太郎が三歳の夏、ばあさまの耳に「北の湖へいく。太郎がつよい、かしこい子になって訪ねてきてくれたら・・・」という声が聞こえます。そして、太郎が「龍の子太郎、まものの子」と囃されながらも大きくなったある日、ばあさまは自分の年齢を感じ、太郎に「たつ」の話をするのです。
母を探しにいこうと思う太郎でしたが、折しも唯一のともだちである「あや」がさらわれます。そして太郎の冒険がはじまるのです。
今思うと、お父さんが死んでしまっていることや、太郎がいじめられていること、「たつ」が目玉を息子に与えることなど、いろいろと象徴的な意味が与えられているような気がしてなりません。
松谷みよ子の本は他に、モモちゃんとアカネちゃんのシリーズが好きでした。
コメント (11)
最新コメント5件
2002/03/21
yome 見てしまったが故、欲が生まれたって部分の表現もあったのかも?!目の前にヤマメが無ければ、見えなければ、罪を犯さなかったのにと(臭いでも分かるけど、それも含めて知ってしまったとひとくくりにして、象徴として)。
kalmia yomeさん>確かに、欲というものの発生の仕方を考えると、眼って大きな位置をしめてますね。なんだか気になって、『龍の子太郎』を読み返してみました。そしたらいろいろ勘違いしたまま覚えていたところがあったので、粗筋の方も書き直しておきました。
yome ひ~、お手数をお掛けしました。ごめんなさひー。でもお蔭様であらすじが分かってスッキリです!他の松谷みよ子作品も読みたくなってきましたよ。今度探してみます。ありがとうございました。:-)
2002/03/22
kalmia いえいえ、とんでもないです。わたしも読み直すきっかけが出来てよかったです。
2002/04/17
エリィ 松谷みよ子の作品は、切ないカンジがスキです。
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