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攻撃計画 ブッシュのイラク戦争

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攻撃計画 ブッシュのイラク戦争 ボブ・ウッドワード著 伏見威蕃訳2004年7月14日1版1刷出てすぐに買ったのですが途中で読むの止めてました。最近になって『アメリカ外交 苦悩と希望』を読んだのをきっかけにまた読み始めてやっと読み終えました。

イラク戦争に関しては、すでにhttp://sports2.2ch.net/test/read.cgi/... 等で、イラクの大量破壊兵器に関する情報機関の判断は「ほぼ完全な誤りだった」と認められていますし、 http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/... http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/... http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/...
等で、イラクとアルカイダとの結びつきも否定的な見方が出ているようです。しかし、米国人の56%が「イラクは大量破壊兵器を所有していた」と信じており、約60%が「イラクはアルカイダを支援していた」と信じているとする最近の調査もあり http://hiddennews.cocolog-nifty.com/... なぜこんなことになるのか理解不能なこともあるようです。

そんなところで、この『攻撃計画』ですが、ブッシュ大統領をはじめとして75人以上の人物相手に一年以上のインタビューと下調べを行い書かれたものです。イラク戦争を戦争計画を作る側から見た本としては今のところこれ以上のものはないと思われます。ホワイトハウス内の会話の様子を再現しているところや、その中で徐々に戦争から引き返せなくなるところなどは、映画さながらです。

内容はマスコミ各社が大きく取り上げたように、

アフガニスタン戦争の最中の2001年11月21日に「(イラク戦争の)計画に手をつけよう」とブッシュ大統領が、ラムズフェルド国防長官に、極秘に戦争計画を練るように指示し、極秘にした理由として「諸外国が大きな不安を抱き、国内では憶測がひろまるから」p5と語るなど戦争の計画が、実際はかなり早い段階から練られていたこと。

また、2002年7月17日に現地での準備作業に7億ドルかかるとして、アフガニスタン戦争のための追加予算から、議会も事情を全く知らないまま、予算が組みなおされたと書かれてp178-p179、いて、ウッドワード氏がCBSテレビのインタビューで、「議会が決めた予算を別の目的に使うのは違法ではないか」と述べ、これに対し、ライス大統領補佐官(当時)が同テレビのインタビュー番組で、「国防総省などの内部で予算が融通された可能性はある」と語る一方で「アフガニスタンで必要なことはすべてやった」と強調し、イラクのためにアフガニスタン戦争がおろそかになったとの批判を否定したこと。
(ttp://www.cnn.co.jp/usa/CNN200404190018.html)。

また、イラクの大量破壊兵器の存在を示す証拠について尋ねる大統領に対し、テネット長官が「心配ありません。スラムダンク(100%確実なこと)です!」p322と答えたことが明らかにされていること。

また、ウッドワード氏はCBSのテレビ番組「60ミニッツ」で、ブッシュ大統領は2003年1月、開戦決定についてまずライス大統領補佐官、チェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官らに告げた、と述べた。
 同氏は、「彼(大統領)はライスに告げた。彼はラムズフェルドに告げた。彼は、チェイニーがこうすること(開戦)を望んでいることを知っていた。そして彼らはコリン・パウエルに伝えていないことに気が付いた」と語り、パウエル国務長官は戦争に反対していたと説明した。しかし、ブッシュ大統領は、パウエル国務長官に知らせる前に、開戦決定について駐米サウジアラビア大使のバンダル・ビン・スルタン王子に伝えることをチェイニー副大統領とラムズフェルド国防長官に許可した。ウッドワード氏によると、同大使は極秘の地図を見せられて戦争計画の詳細説明を受けた(ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040419-00000891-reu-int)。p343(1月11日)と思われる

また、2003年1月13日に、ブッシュ大統領が「これしか方法はないだろうと思う」パウエル国務長官(当時)に述べ、戦争を決意したことを示し、p350それに対しパウエルが「いろいろ影響があるのはお分かりでしょう」「あの国を所有することになるのもおわかりですね?」p351と懸念を表明したことが明らかになり、ブッシュ政権内の緊張が高まるとの見方があったこと。

また同じく「60ミニッツ」で、ウッドワード氏は「原油価格は高いが、すぐに低下させることが可能だ。それがサウジアラビアの公約だ。夏にかけて、もしくは大統領選挙時期に近づくにつれ、サウジアラビアは1日当たりの生産量を数百万バレル増加させることができ、価格は大幅に下がるだろう」と語っ
た(ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040419-00000880-reu-bus_all)こと(p419関連?)と、ガソリン価格が高騰し、このガソリン価格の高騰には、米ワシントン・ポスト紙の記者、ボブ・ウッドワード氏が、米・サウジアラビアの間に原油価格をめぐる密約説があると発言したことが、拍車をかける結果になっているとの見方もある(ttp://www.sankei.co.jp/news/evening/e21bus003.htm)。と報じられたこと。

また、戦争に消極的だったパウエル国務長官(当時)が自らの立場を擁護するために執筆に全面協力したとの憶測が流れ、チェイニー副大統領ら政権内強硬派との対立が再燃するのではとの懸念も出て(ttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040420-00000055-kyodo-int)いたことなどがあり反響は大きかったと思います。訳者あとがきによると、ホワイトハウスでは即座に「犯人(情報源)探し」がはじまり、ラムズフェルド国防長官は取材を受けた際のやり取りをすべて公開し、潔白であると主張し、パウエル国務長官(当時)も「ホワイトハウスの指示でウッドワード氏と話をした。二回電話を受けただけだ」と釈明しているp585そうです。

実際に読んでみると、ジョージ・W・ブッシュが正式に大統領に就任する前から、チェイニーが、新大統領に対する要旨説明は、用意された原稿を読む決まりきった世界情勢概説ではなく、一番の話題はイラクにしてほしいというなどp13早くからイラクに注目していたことがうかがえます。
 しかし、1998年に議会が成立させ、クリントン大統領が署名した法案が、イラク反体制派に9700万ドルの援助を行い“サダム・フセインを頭目とする政権を取り除いて、民主的な政府の出現を促す”ことを正式に承認しています。p14

11月26日の部分で

記者たちはイラクとサダム・フセインについて質問した。
「大量破壊兵器を開発してないことを世界に示すために、サダム・フセインは査察の再開を受け入れるべきだ」と、ブッシュは言った。
「受け入れなかった場合どうなりますか?」
「それはそのときの…」ブッシュは答えた「いずれフセインにもわかる」“大量破壊兵器の再入国を求めると、ブッシュ大統領語る。「さもないと」とは明言せず”と翌日の《ニューヨーク・タイムズ》の第一面の見出しにあった。p48

この段階ではまだこの程度だったわけですが12月1日に、

ラムズフェルドは統合参謀本部議長経由で、計画立案を命じる機密命令をフランクス(中央軍司令官・大将)に送り、新・対イラク戦争計画の基盤となる指揮官の判断を作成するよう求めた。2ページの命令書で、ラムズフェルドはフランクスに、サダム・フセインを権力の座から引きずりおろし、予想される大量破壊兵器の脅威を取り除き、現在疑惑がもたれているフセインのテロ支援活動を根絶やしにするための軍事作戦の遂行方法について助言を求めている。p51 52

と、11月21日にイラク戦争の計画を練るようにいわれたラムズフェルドは、そもそも大量破壊兵器、テロ支援ありきで命令を発しています。

CIAがイラクの大量破壊兵器使用能力について国家情報評価を行うことに同意したのも、

ブッシュとチェイニーがイラク問題に対してあけすけに結論を口にした直後だった。8月26日のチェイニーの発言は「ありていに言って、サダム・フセインが大量破壊兵器を保有していることに疑いの余地はない」というものだった。その一ヵ月後こんどはブッシュが、「イラクのフセイン政権は、生物・化学兵器を保有している」と述べている。p254 255

と、CIAなどの情報に関する報告書が作られる前に結論が述べられて、結論を引き出さざる得ない状況が作られています。その結果、

但し書き抜きで、“バグダッドは生物化学兵器を保有している”とする重要所見のもとに92ページの機密書類が発行されたあまり根拠のないその主張で目を奪ったあとは竜頭蛇尾で、控えめだが明らかにあいまいな表現がだらだらとつづいている。重要所見の2段落目に自信の無さがかすかに漂っている。「われわれはイラクの大量破壊兵器に向けた努力のほんの一部を垣間見ているにすぎないと判断した」どんな報告書でも、そういう表現は使えるだろう(略)
 情報機関は「バグダッドがマスタード・ガス、サリン、サイクロサリン、VXガスの生産を再開したと判断している」と国家情報評価は述べているが、イラクが現に保有しているのか、あるいはそれを目にした情報源がいるのかということは、まったく述べていないまた、裏付け情報はほとんどない。イラクが「限定的な化学兵器製造を可能とするのに充分な量と質の化学薬品と装備をひそかに調達したという」秘密情報を得たとしている。こうした化学薬品は、合法的な目的と化学兵器製造の両方の目的に使えるのでこの結論は憶測にすぎない。(略)
 生物兵器についてもおなじような説明がつづく。情報や結論のなかには、重要所見のあからさまな断定とほとんど矛盾しているものもある。たとえば、こういう個所がある。「われわれは、イラクの攻撃的生物兵器の重要な側面――たとえば、研究開発、生産、兵器への搭載は。すべて稼動しているとみている」計画のさまざまな面が稼動しているからといって、現実に生物兵器が製造されたとはかぎらないがこの国家情報評価では製造されたと強く示唆している。たしかに不安をもよおすような強力な状況証拠だが、だからといって重要所見にあるようにフセインがそういう兵器を“保有している”ことにはならない。「われわれは、イラクが人命にかかわったり能力を奪ったりする強力な生物兵器を保有しており、そうしたさまざまな生物兵器となりうる薬剤を迅速に製造し、兵器に搭載する能力を有していると考えている」またもや、イラクが現に兵器を保有しているとは言っていない。

とかなり灰色の情報評価が行われていたようです。また情報評価に関連して2ヵ月後に行われた極秘のプレゼンテーションでも内容は
・生物兵器の成分に加え化学兵器の材料3200トンの行方がわからなくなっていること
・イラン・イラク戦争以来化学兵器用砲弾6000発の行方がわからなくなっていること
・射程を150キロに制限されいている小型のミサイル用ロケット・エンジンの試験台よりかなり大きな試験台の衛星写真
・化学部質を移動後に処理した後か、漏れたものを処理した後のように見える書類上で化学兵器工場だとされている施設の地面を掘り起こした後の衛星写真
・国連がイラクに定めた航続距離150キロメートルの上限を超え“疑問の余地なく確実に”合計500キロメートルに渡って飛んでいる無人機の楕円軌道の図
・情報源と亡命者数人からによると大型のトレーラーが査察団を避けて移動できる生物兵器製造施設に使われている
・「除去しろ」「除去する」「神経ガス」「神経ガス」「来るときはいつでも」という共和国防衛隊士官ふたりの無線交信傍受
・大量破壊兵器の製造にかかわっていることが分かっているアルキンディ社の改造車両を隠すことについて幹部将校が話し合っている通信傍受
と説明を受けたブッシュも「大量破壊兵器があるという情報をつかんだと、これまでさんざん聞かされてきたが、これが精いっぱいなのか?」と、テネットCIA長官にたずね、「スラムダンクぐらい確実じゃないですか」「そんなに確信があるのか」「心配ありません。スラムダンクです」と強引に押し切っています。p319-322より要約。ただし移動式生物兵器製造施設に関しては、エジプトの情報部も存在を確認していたとされています。p405

またイラク戦争前に大量破壊兵器に関して誤った情報をブッシュ政権に提供したとされるアハマド・チャラビに関しても、

リビー(副大統領主席補佐官)にとってもうひとつ不思議でならなかったのは、亡命イラク人の指導者チャラビが、国防総省やチェイニーに情報をじかに渡す連絡網を持っていることだった。チャラビの情報はすべてそこからCIAに伝えられる。国防総省は、都合のいい情報を使ったり使わなかったりすることができるわけだ。p375

とかなりずさんだったことがうかがえます。

また、不思議なのはイラク戦争が正式に開始される3月20日の前に、CIAの積極的な破壊工作が承認されて、3月15日にすでに行われている事 p452 です。(モスルとバグダッドを結ぶ鉄道爆破、クルド人の開放は近いというビラまき、バース党支部や情報部支部、公用車、フセインの像、壁画、ポスター、官庁、バグダッドとシリアを結ぶ鉄道で、原油を運んでいた列車などが攻撃された(3月15日がどんな日だったかはこちらをどうぞhttp://www.nikkei.co.jp/sp1/nt54/... http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/...)
まぁ1月11日の時点で、サウジアラビア大使のバンダル・ビン・スルタン王子(フセインの国外退去か和平交渉を促すただの示威行動に過ぎなかった場合、サウジアラビアがじかに戦争に関与することはぜったいにできないp344と考えていた)にフセインはトースト(おしまい)ですと約束して協力を取り付けている時点ですでに引き返せないから同じなのかもしれませんが。

まとまりがない文章になってしまいましたが、その他書評・著者インタビューなどはこちらをどうぞ。
http://www.nikkei-bookdirect.com/...
http://www.globe-walkers.com/ohno/...
http://www.yomiuri.co.jp/bookstand/...

lightcyan画像 投稿者:
lightcyan
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  • 2005/06/02更新
  • 2005/04/26登録
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コメント (2)

2005/06/02

lightcyan 暴露された極秘文書「ダウニングストリートメモ」の重大性 http://hiddennews.cocolog-nifty.com/... 2005年5月1日、英国総選挙直前に英サンデータイムズ紙上で暴露された政府文書には、ブレア政権のみならずブッシュ政権をも揺るがす重大事実が記されていた。暴露された極秘文書の中で、2002年7月23日にブレア政権内でイラク戦争開戦について内密に会議が行われた際、英情報部(MI-6)長官は「(イラク侵攻のために)ブッシュ政権は情報を仕込んでいる」と明確に語っている。(以下略)           【続報】ダウニングストリートメモ暴露から1ヶ月、米国内の反応は・・・ http://hiddennews.cocolog-nifty.com/... なんていう話もあるようです。

lightcyan アメリカとイギリスの巨大な犯罪を証明する「ダウニングストリート・メモ」 http://groups.yahoo.co.jp/group/... ここにダウニングストリート・メモ全文和訳があります。まだちゃんと読んでませんが。

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翻訳家。 訳書は170冊を超える。 『フラット化する世界』『イエスの王朝』など。

イギリス人、フランス人、ドイツ人、イタリア人、アメリカ人、ロシア人、中国人、インド人、日本人、朝鮮・韓国人、台湾人、タイ人、ベトナム人、スウェーデン人、フィンランド人、トルコ人、イスラエル人...

建築基準法の改正や半世紀ぶりの商法大改正、公正取引委員会の規制強化、弁護士業の自由化や様々な司法改革……。これらはすべてアメリカ政府が彼らの国益のために日本政府に要求して...

イラク侵攻の背景には、ドルをバンバン刷って、ドル建てで世界中の国々に取引させ、未来永劫~経済的には、本当はピンチなくせに「のほほ~ん」(^ω^)とした安穏なアメリカ(ドル...

9.11の100日間におけるブッシュとその側近の記録。 別にブッシュが始めたブッシュのための戦争という意味ではなく、戦争におけるブッシュという意味。 CIAは知ってて防...

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アメリカ外交 苦悩と希望 村田晃嗣著 講談社現代新書 2005年02月20日第1刷発行  産経の書評で紹介されてる(http://www.sankei.co.jp/new...

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