MUJI
グッドデザイン賞の無印良品(2): MUJIデザイン革命-実用主義からブランドへ-
■■■■(1)リンク、(3)追記の本論となる分析解説です■■■■
■2004年は、MUJIデザインの年だ。2004年は10点がグッドデザイン賞を受賞し、合計41点の無印商品がGマークをつけた。加えて、2005年のドイツiFデザイン・プロダクト賞で、金賞5点、入賞4点が表彰された。受賞製品は、オリジナル製品を作っている家電・雑貨に集中しており、PB商品が多い文具とは戦略が異なるようだ。無印良品は1999年までグッドデザイン賞にまったく力を入れておらず、7点以上の大量受賞は、1987年と2000年以来のことだ。
■グッドデザイン賞の「受賞歴」で見る限り、MUJIデザインの歴史は3つに時代区分できる。他の資料を見ていないため、偏り・誤解も多いはずだが、時代変化だけはくっきり現れる。
■■1.生活必需品時代(1987-1998年:13点)
■1987年に10点のGマークを獲得した後は、グッドデザイン賞にはまったく力を入れない。受賞は1987、1994、1995の3年のみで、年平均にすれば1件。デザイナーは、西友+スタジオ・スコープ(のちに良品計画)の内部者、製品は「新興団地型」、すなわち家庭向けの生活必需品・低価格品のみ。
■■2.デザイナー外注時代(1999-2003年:18点)「深澤直人時代」
■グッドデザイン賞獲得に腰を上げ、毎年Gマークを獲得する。年平均3-4件。デザインは外部デザイナーに依頼する。製品は「新婚アパート型」、すなわち家電を含め高額品も加わる。
■デザイナーとして深澤直人(IDEO JAPAN→ナオトフカサワデザイン)の起用は象徴的で、壁掛式CDプレーヤー・ブック型CDプレーヤー(三宅一成と共同)・ノンフロン電気冷蔵庫・空気清浄機等、家電・AV進出を果たした。加えてオーブンレンジ・ノンフロン電気冷蔵庫の手槌りか(IDEO JAPAN)、キッチンスツール・アルミハンガーの浅井治彦(アルス)、取替式歯ブラシ・角紙管ラックシステムの安井敏(BING)の3名が代表的デザイナー。
■■3.企画デザイン時代(2004年-?:11点)「出戸克佳時代?」
■良品計画社内のデザイン体制を確立する。カテゴリーマネージャーがプロデュースし、企画デザイン室(伊藤祥次室長)がディレクターを担い、室員がデザインする三層構造のプロジェクトチーム。外注する場合も同様で、社内カテゴリーマネージャーがプロデュースして、外部にディレクター・デザイナーを委ねる。シュレッダのように、外部ディレクター(深澤直人)をポイント起用する例もある。製品ターゲットは「ワンルーム・マンション型」、すなわち都会型生活スタイルにこだわり可処分所得の高いSOHO・DINKS・単身者にシフトする。
■内部デザイナーとしては出戸克佳氏が目覚しく、「出戸克佳時代」を期待させる。アクリルライトシリーズ・シュレッダ・DVDプレーヤー・CDラジオ・スピーカー・PET詰替ボトルの6点が彼のデザインだ。彼がもし、コクヨデザインアワード2003グランプリの「boxer cap」や金沢工業美術大学1998卒業作品の「家庭行事を演出するパーティション」と同じ作者なら、30歳の新進気鋭で今後が楽しみだ。
■次いで、洗濯板・PET詰替ボトルの中坊壮介氏も、堅実だ。英国美術界最高峰の王立美術学校RCA(Product Design)の2002年卒業生に同じ名前がある。もし同一人物ならば20-30代で、卒業直後にすぐ、無印良品のデザインを任され、受賞に至ったことになる(勝手なプロフィール推測で申し訳ない)。無印良品が若い感性の登竜門となっているなら喜ばしい。他に、外部デザイナーだが、1957年生まれの山本秀夫氏(オッティモ)が、ポリプロピレン整理ボックスと掃除用品システムシリーズを作っている。
■しかし、ひょっとしたら今後は、もはやデザイナーの個人芸でなく、プロデューサー・ディレクター・デザイナーの3者による社内チーム力で勝負する時代になったのかもしれない。それならば「企画デザイン時代」とでも呼ぶべきか。事実、「深澤直人時代」は有名デザイナー起用でデザイン評価を上げたものの、外注・OEM依存では利益が外部に流れ続け、低価格路線に限界が来る。また、利益率確保には、単に「デザインが良い」だけでは不十分で、中国製品との値引競争を避け、大手メーカーの間隙を突く「売れる企画」が必要だ。そのため、企画デザインの社内化とマーケティング部門との連携は、必須課題だ。しかもその社内デザインが、深澤直人が築いたブランド力を劣化させては意味がない。その意味で、2004-2005年のグッドデザイン賞・iF賞への大量挑戦とその成功は、社命を賭けたMUJIデザインの分岐点だったのではないか。
■これらグッドデザイン賞無印商品のターゲットは、「(無難だから)MUJIでも買っておくか」「(選択の余地がないから)MUJIしか買えない」の「でもしか」ユーザーでは、もはやない。むしろ、無印商品を「デザイン製品として選ぶ」新しいMUJIユーザーだ。こうしたクライアント層は、今後も増えるだろう。毛沢東はかつて「若く貧しく無名であること」を人間大成の条件だと述べた。誰もが名前を知るブランドに無批判に阿らず、かといってデザイン性を諦め手近な量販品に流されるのでもなく、「デザイン作品」として若く安く匿名のMUJI製品を「選び取ること」。それは何より、自分一人の選択眼を信じ誇りにすることでもあると思う。MUJI万歳。
■無印良品+グッドデザイン賞(1)-受賞製品リスト全41件
■無印良品+グッドデザイン賞(3)-「ふっくら成型ソファ」の企画デザイン論
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グッドデザイン賞
iFプロダクトデザイン賞
出戸克佳氏(デザイナー・東京都出身・当時28歳)「boxer cap」
(http://www.kokuyo.co.jp/press/news/...コクヨデザインアワード2003グランプリ)
出戸克佳氏(美術工芸学部・工業デザイン専攻)「家庭行事を演出するパーティション」(金沢工業美術大学1998卒業作品)
中坊壮介氏卒業展示:Royal College of Arts, Product Design
(辻田幸廣氏ブログ2002年7月21日)
http://www.ottimo-d.com/home/...氏
■このキーワード冒頭のG-Mark画像は、NTTやニコンのロゴや著書『世界のトレードマークとシンボル』等で知られる、亀倉雄策(1915-1997)の作品。
- 2006/05/14更新
- 2005/05/06登録
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コメント (1)
2005/11/24
テリー 2004年度GD賞では10点が大量入賞したのに対し、2005年度は「ふっくら成型ソファ」1点しか入賞しませんでした。この背景については、追加キーワード「無印良品+グッドデザイン賞(3):ふっくら成型ソファの企画デザイン」で分析します。http://www.kanshin.com/...
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