家族狩り~天童荒太
天童荒太、渾身の、入魂の傑作。と、言いたい。
でも、関心空間にどう書いていいのか、なかなか難しかった。文庫本にして5冊。1冊1冊がそれほど厚くないし行間もゆったりしているので、分量としては読みにくくない。しかし圧倒的なパワー、ストーリー展開。
猟奇的殺人があり、それを追う刑事。それをとりまく関係者それぞれが抱える心の傷。良かれと思ってやったことが、わずかにずれ、そのずれがいつの間にやら溝になり、崖になり、人が奈落に落ちていく。
家庭の崩壊、児童虐待、非行、心の傷、心の病。それらが渦巻いて激流のように流れる作品なのに、感動の名作だと思う。すべての問題が解決できたわけでもないのに、最後の5ページほどに大きな救いがあった。
ただ、これはミステリーとは呼びたくない。大きな人間ドラマだ。そういう意味では、天童荒太の「永遠の仔」と同類だろう。
必読の書。
- 2005/06/06登録
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