スモール・フェイセズ / オグデンズ・ナット・ゴーン・フレイク
Small Faces / Ogden's Nut Gone Flake
68年作品。モッズといえば、スモール・フェイセズはその代表的バンドといえるのではないだろうか?ソウルやR&Bをオシャレに消化したサウンド、そして服装やルックスの端整さは多くの若者をひきつけ、流行の最先端を行っていたと思う。そんな彼らの中で、最高傑作はこの『オグデンズ・ナット・ゴーン・フレーク』をおいて他には考えられない。今だもって語り継いでいかなければいけない名盤だと思い、ここに紹介する。
スティーブ・マリオット(vo&g)とロ二-・レーン(b&vo)の2人が作り出す音楽は全く持ってアイデアの宝庫だ。これまで彼らは音楽的にはコンパクトでスペーシーな世界を作り上げてきたものの、そのルックスの良さからただのアイドル的な存在のように受け取られがちだった。しかし、このアルバムではビートルズの『サージェント・ペパーズ~』に代表されるようなコンセプトアルバムにスモール・フェイセズが果敢に挑み、見事、音楽単独でもレベルが高いことを完全に実証し、モッズバンドがさらなる進化を遂げたと評価されるに至った。評価を覆すということは生はんかなことではない。それだけでもこのアルバムが与えたインパクトのすごさが窺えるといえるだろう。その内容だが、A面は全てシングル曲っぽいキャッチ-ソングで纏め、B面を一つの物語(スタン物語)にして、寓話を読む男の朗読をはさみながら万華鏡のような展開を表現しているのが大きな特徴だ。マリオットのボーカルは強弱だけではなく多彩、そのバックに流れるイアン・マクレガン(key)のキーボードとオルガンはロ二-・レーンのベースに華を添える。もちろんマリオットはギタープレイヤーとしても充分な存在感を表しており、1曲の中に実に細かなテクニックが持ち込まれている。だが、それもボーカルを上手く持ち上げるように整頓されているのがいかにも彼らしい配慮だと思う。さらにB面のテーマが「幸せを求める男の話」であり、最後に彼ら(仲間と途中で会う)が「ハッピーデイズトイタウン 」にたどり着けるという話の結末は、非常にポジティブシンキングで、耳にしていてとてもウキウキする。「これは自分達のバンドの現状を比喩したのではないか?」と僕が推測するほどに、彼らは充実していた。
ところが、このアルバムを最後に、突然マリオットは新たなる可能性を求め、ハードのピーター・フランプトンを誘いハンブル・パイを結成(マリオットのその後の詳細はハンブル・パイのレビューを読んでもらいたい)。バンドは後任として、ジェフ・ベック・グループで頭角を表しつつあったロッド・スチュワート(vo)ロン・ウッド(g)を新たに迎え入れる。そしてしばらくして、名前をフェイセズと変更し、エンターテインメント型ロック・バンドとして、70年代のロックンロールムーブメントの中心的存在となっていった。バンドが絶頂期になったときに訪れた突然のボーカル交代劇、マリオット/レーンのコンビの曲をもっと聞いてみたかったというのが本音だが、その後の道はお互い全く違う世界を描いていったので、これもいたし方ないのかもしれない。僕のように、その時生まれていなかったものでも、音を聴き、そのイマジネーションを味わうことができるのだから、そのことだけでも素晴らしいと思わなければ!
最後に、このアルバムは当時、お菓子箱のような入れ物に封印され話題を呼んだという。リマスター盤の初回では、それに近づけるため円形のジャケットで販売された。当時のレコードを手に入れることは難しいと思うが、色使いも含めてデザインがかなりかわいらしいので、是非オリジナルを確認してもらいたいと思う。
- 価格: 2800円
- メーカー: ビクター
- 年(代): 1968年(リマスター盤は2000年)
- 団体名: スモール・フェイセズ
- 2002/03/29更新
- 2002/03/29登録
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