古今亭志ん朝
夢に志ん朝師匠が出てきました。
独演会でどこかの田舎にいらした。
私はそこで師匠のお世話をする役場の職員か何かになってます。
会場は古くて大きな民家。
朝方、私はその裏山で「ウド」を摘んでいます。
実際に摘んだ経験はないのですが、夢の中でも独特の香りが立ち込めてくる。
摘んだ「ウド」を志ん朝師匠にお土産に持って帰ってもらおうか、いや、却ってご迷惑かと悩みつつ、公演が終わった志ん朝師匠にビニール袋に入れた「ウド」を差し出す。
師匠は「ウドですか。いいですなぁ。春らしくて。こんなにいただいていいんですか」とすんなり受け取ってくれた。
お帰りになるということで玄関でお見送りをする。
田舎のあぜ道を師匠が歩いて行く。
私はいてもたってもいられなくなり、後を追っかけて行きました。
いつのまにか師匠は白い絽の着物を着ている。
後を追う私に気づいて振り返り「あぁ、もういいんですよぉ」と微笑みました。
見送る私はなぜか涙があふれて止まらず、号泣してしまいました。
そこで目が覚めました。
本当なら「矢来町!」の掛け声が聞こえるはずだった2001年9月9日の東京芸術劇場。
志ん朝と円歌の二人会は志ん朝が体調不良のため談志が代演しました。
「具合が悪いみたいだが心配ないと思う。今日の客は得したね、豪華な代演だ」
と談志らしい台詞です。
志ん朝が好きな者は談志にも一目置いているものですが、談志にすれば志ん朝目当てに切符を買った客の前で噺をするというアウェーの会場です。
だからこそ力の入った熱演に、ドスンとした充実感が客席を被いました。
サゲのあと大きな拍手の中で「来て良かった!」の掛け声。
粋なお客さんです。
その声に笑う談志。
志ん朝・談志の二人会(こう書くだけでドキドキします)は夢に終わりましたが、今思えばあの「代演」こそ「夢の二人会」だったのかも知れません。
古今亭志ん朝 2001年10月1日死去
その日、矢来町は雨でした。
- 2007/01/11更新
- 2007/01/10登録
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