「ホテル・ルワンダ」
以前、お昼にぼんやりとテレビをみていたとき、画面にはアフリカらしき国の殺風景な平原が映っていた。アフリカの動物ドキュメントかと思い、画面を見つめていると突然ヒップホップ音楽が鳴り響く。ラジオ局のDJが軽快な音楽に載せライムを刻むように言い放つ。「ツチ族を殺せ!」と。テレビ画面の中で行われていることの状況が理解できないまま、農作業に使うカマや山刀など原始的な武器によって虐殺されたツチ族の死体の山が築かれていた。
この番組は1999年?にNHKで放映された『なぜ隣人を殺したのか~ルワンダ虐殺と扇動ラジオ放送~』である。私にはこの番組が終わった後も、何故このような大虐殺が行われたのか?また、このアウシュビッツ以降に行われたジェノサイドがなぜほとんど国際社会で報道されなかったのか、全く理解できなかった。そして、いろいろな情報を得た今も正直心の奥底ではこの想像を絶するジェノサイドという事態を理解できていないとおもう。
この番組を見てから数年後、「ジェノサイドの丘 上下」(フィリップ・ゴーレイヴィッチ)というルワンダ虐殺について書かれた本を入手し、ようやく状況がわかってきた。この本は、いまも続く目の覚めない悪夢のようなルワンダの虐殺が起こった状況を伝えている。
かつて宗主国であったベルギーの植民地政策によって積み上げられてきた部族間の憎悪、植民地以後も行われた部族対立の政治的利用、ラジオや雑誌を巻き込んで行われた部族対立を煽るプロパガンダ。そのすべてが虐殺を準備した。虐殺は予告され、周到に準備され、実行に移された。事前に予期されていたのにもかかわらず、国際社会はこの虐殺を止めることはできなかった。ある日のラジオ放送をきっかけに、多数派であるフツ族は、農作業に使うカマや山刀など身近にある武器を手に手に握り締め、かつてのエリート階級であったツチ族に次々と襲い掛かった。この虐殺による死者はルワンダの全人口の一割に当たる約80万人もの数にのぼったという。また、虐殺が起こった後には、今度は貧しさと資源の乏しさゆえに、この国で起こった悲劇は国際社会から徹底的に無視され、さらにその被害は拡大した。しかし、この絶望的な状況の中で、機転を利かせ多くのツチ族の命を救った一人のホテルマンがいた。
「ホテル・ルワンダ」という映画は、この一人のホテルマンを主人公にした映画である。このドン・チードルが主役のホテルマン役を演じた映画は昨年度のアカデミー賞では主要3部門にノミネートを果たすなど、高い評価を得ている。しかし興行的な理由で現在日本での公開は決まっていない。
リンク先は日本での「ホテル・ルワンダ」の
公開を求め運動している会のHPです。
- 原題: 参考書 「ジェノサイドの丘―ルワンダ虐殺の隠された真実」上下巻
- 人名: フィリップ・ゴーレイヴィッチ
- 発売元: WAVE出版
- 2005/06/30更新
- 2005/06/30登録
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最新コメント5件
2005/06/30
Rume 実際、ドキュメンタリーを見たときはしばしポカーンとしました。何故、こんなことになっちゃってるの?って、そして「ジェノサイドの丘」をよんだときには読んでいる間中悪夢にうなされるような状態でした。その本の中で一つだけ、救いだったのが、「ホテル・ルワンダ」のホテルマンのエピソードなんです。もちろん、ルワンダの事件の国際的な無関心の他に虐殺を手をこまねいてみていた世界の警察アメリカや、虐殺を行った側のフツ族に味方し、事態を更に複雑にしたフランスの責任も重大です。
2005/07/04
カオナシ 虐殺じゃありませんけど、最近でも、ジンバブエでは政府が重機で総計30万人の国内難民を生み出してますよ( http://www.mainichi-msn.co.jp/... )。 ちょっと注意していればこういったニュースでもキャッチ出来るはずですけども。。。
2005/10/05
Rume 『ホテル・ルワンダ』の日本での一般公開が来春に決定しました。やったあ。
2007/04/17
semi166 最近「生かされて」という本を読んで初めて事実を知りました。
Rume 「ホテル・ルワンダ」公開後、ルワンダ虐殺を扱った本も増えてきましたね。隣人が家族を殺し、その隣人を許して一緒に生きて行かねばいけない社会がどういうものなのか、虐殺以上に想像を絶するものがあります。
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