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ツヴィリングJ.A.ヘンケルス 料理バサミの世界的元祖 GoodDesign賞 (Twilling J.A. Henckels, Kitchen Shares & TWIN multi-purpose shears)

  • ツヴィリングJ.A.ヘンケルス 料理バサミの世界的元祖 GoodDesign賞の画像

クラシック料理バサミ(6,300円)は、1938年に誕生した世界初の料理鋏だ。野菜類を滑らさぬよう刃にマイクロエッジング加工が施され、グリップに栓抜きがついているのが創案だ。世界中に数々の派生品を生んだが、日本人でもひょうたん型のユニークな形を知らぬ者はいないだろう(画像はクラシックではなく、四代目のツインセレクト)。製造するツヴィリングJ.A.ヘンケルスは、ドイツ・ゾーリンゲンに1731年創業の刃物や鋏の世界的権威だ。双子マークは、日本では一般に「ヘンケルス」と呼ばれてきたが、最近、ドイツ現地と同様に「ツヴィリング(双子)」の呼称に統一された(区別と経緯は後述)。

ツヴィリング
http://www.zwilling.jp/index.html

■ツヴィリングは、さらに半世紀後の1983年に、満を持してツイン料理バサミ(4,300円)を発表した。樹脂製のカラーハンドルを採用し、三角形の幾何学的にすっきりした輪郭だ。日本でも、1985年グッドデザイン賞を受賞している。これも各種模倣品が溢れるほど、新たな定番として確立したので、誰もがどこかで見たことがあるはずだ。日本語では「ツイン料理バサミ」として呼ばれているが、欧米では「ツイン万能バサミ(TWIN multi-purpose shears)」として販売され、紙はもちろんカーペットまで対応するそうだ。改良版としてツイン料理バサミLツイン料理バサミM(5,250円)もある。とくにツインMは、さらにデザインを洗練させ、円形のグリップが丸みのある安定感を作っている。幅広で厚みのあるの刃のたっぷりした量感も心地よい。

ツイン料理バサミ 1985年グッドデザイン賞
http://www.g-mark.org/search/Detail?...

■四代目のツインセレクト(8,400円)は、ツヴィリング料理バサミの最高峰を目指した最新型だ(画像)。オールステンレスのほっそりして流れるようなフォルムは、2005年のグッドデザイン賞とドイツiFデザイン賞を受賞している。ツヴィリングのグッドデザイン賞受賞は、金属洋食器セット(1980年)、鍋・フライパン(2001年&2002年)、包丁研ぎ器(2002年)、爪切り(2004年&2004年)に次ぎ、7点目だ。8,400円は高価だが、同じくオールステンレスのクラシック・サテンが13,650円であることを考えれば、法外な値段設定ではない。依然としてクイックセパレイトができないことが唯一残念な点だ。

ツインセレクト料理バサミ 2005年グッドデザイン賞
http://www.g-mark.org/search/Detail?...

■■■■Zwilling料理バサミの世界的な影響力■■■■

■ツヴィリング料理バサミは、料理バサミの先駆として、世界中で数え切れないほどの追随を生んだ。日本でも、和鋏の伝統を継ぎ国産料理鋏の最高峰といわれる「増太郎」でさえ、ツヴィリングの影響は否定できない。増太郎とクラシックと並べて重ねてみたら、サイズも形もピッタリ一致し、模倣にも近い類似にショックを受けた。作者・岩田増太郎は、吉田弥十郎系「東鋏」の流れを汲む東京都認定伝統工芸士で、名工会HPで認定された名匠である。キッチンハサミは増太郎の代表作で、1955年の発売以来、半世紀の改良を続けてきた名品だ。『暮しの手帖』等にも高く評価され、とくにグリップまで総ミガキのAP(16,800円)やハーフ・ポリッシュのHP(6,800円)は、常に納期1年待ちとなっている。しかし、ツヴィリングとの酷似を改めて発見すると、理髪鋏等が今や世界の頂点に立つにしても、国産洋鋏の出発点はゾーリンゲンの模倣・対抗にあったことを、悔しいが思い知らされる。

■その意味で、長谷川刃物のキッチンハサミEL-210(2,000円)は、国産普及品として健闘している。ツヴィリングの呪縛から逃れ、独自な形状で1992年グッドデザイン賞や2003年ロングライフデザイン賞を受賞した。9つの多機能が謳われているが、ニンニク潰しや肉叩きなど、あまり使いそうにない機能もあり、デザイン的には少し過剰だ。が、簡単に2つに分解して洗えるクイックセパレイトは、蝶番部の汚れが気になる料理鋏には、大切な機能だろう。後発の「ツヴィリング型」料理鋏には、分解機能を持つ改良版が増えているが、本家ツヴィリングは未だ取り入れていない。元祖料理鋏のほぼ唯一の死角となっている。

長谷川刃物 キッチンハサミEL-210 1992年/2003年グッドデザイン賞
http://www.g-mark.org/search/Detail?...

■他方、ツヴィリングも、類似品の乱立を座視しているわけではない。実際、日本を初め、世界中で模倣品が出回ったのは、老舗企業の地位に甘んじた割高な価格設定にも問題があった。実際、米国で28ドルのツイン料理バサミは、日本では4,300円で販売されている。ゾーリンゲン職人の人件費負担とは別に、外国製鋏には千円強のプレミアムを上乗せするのが、日本市場の慣例のようだ。

■しかし、現在のツヴィリング製品は、独製高級品の「Twilling J.A. Henckels」(赤地の双子マーク)と現地製普及品の「J.A. Henckels International」(白地の1人マーク)の2ブランドに分割された。今や「ツヴィリング」(双子)だけがゾーリンゲン製で、「ヘンケルス」(一人っ子)は現地生産品を意味する。これまで日本では一括して「ヘンケルス」と呼んできたので間違えやすいが(ヘンケルス・ジャパンもイメージの混同はむしろ歓迎するところだろう)、ブランドもマークも製造地も違う。かつて「ヘンケル」と呼ぶ人もいたが、これは省略し過ぎだ。

■2004年に設立された日本初のナイフ工場、ツヴィリングJ.A.ヘンケルスジャパンMfg株式会社はなんと、ドイツメーカーを模範に「日本のゾーリンゲン」を目指してきた宿敵、「関の刃物」で知られる岐阜県関市に置かれた。今や「関のヘンケルス」ブランドが生まれたのは、面白い逆説だ。従業員41名は、関の中小専業メーカー群の中ではすでに大企業だ。ヘンケルスといえど、関の職人群なしには刃物生産できず、今や関やゾーリンゲンも大きな技術的差はないのだろう。それなら、わざわざ「Made in 関」のドイツ・ブランドを選ばずとも、関の地場刃物をそのまま素直に買えば良いような気がするが、日本市場の外国製品信奉は根強い。

ツヴィリングJ.A.ヘンケルスジャパン株式会社
http://www.zwilling.jp/index.html
「刃物の町」関(関商工会議所)
http://www.sekicci.or.jp/edgedtool/...

■たとえば、「ヘンケルス」のロストフライやクールカットプラス(2,625円)も、ゾーリンゲン製品ではない。ドイツ製「ツヴィリング」ツインとほぼ同型なのだが、もっとも高価なツインセレクト(8,400円)の3分の1以下、ツイン(4,300円)の6割の価格だ。ツインMの国外価格と比べても千円以上の上乗せが消滅し、妥当な価格設定と言える。

■ロストフライは、ツインでは赤だった蝶番が青色で、ハンドルに栓抜きがつく。クールカットプラスのハンドルは、無印良品の機能美を想像させるようなスケルトンだ。しかし、クールカットプラスは、2枚の透明アクリル樹脂をリベットで留めた「オープンハンドル」を採用するため、隙間からゴミやとくに錆がつきやすく、定期的に分解掃除して乾燥を保たないと汚れが目立つようだ。

■ツヴィリングと同じくゾーリンゲンで1815年創業のドライザック(WÜSTHOF DREIZACK)も、料理バサミはツヴィリングの後塵を拝している。同社の料理バサミ5550(5551、5552)、5556、5558は、それぞれクラシック、ツイン、ツインMを想起させる。価格帯はツヴィリングよりも高く設定し、分解洗いを可能にするなどの改良は加えてあるが、元祖料理バサミの呪縛からは逃れえない。

■他に同じドイツ製で気になるのは、Manfred Langデザイン(1995年)のキッチンハサミだ(2,580円)。MoMAオンラインストアに選ばれた唯一の万能鋏で、成型プラスチックのハンドルと肉厚の刃が存在感を持つ。個人的にはツヴィリング・ツイン料理バサミMの方が上品だと思うが、美術館販売商品ながら値段は実用品水準であるのは評価できる。

■料理バサミは今も進化を続けている。

■■■Zwilling J.A. Henckelsの生誕と世界展開■■■

■ツヴィリングJ.A.ヘンケルスは、1671年にPeter Henckelsがゾーリンゲン刃物師同職組合に「双子(Zwilling)」マークを登録したのを創業年としている。その後、中興の祖のJohann Abraham Henckels(1771-1850年)の名前を冠して、社名をJ.A. Henckelsとする。1895年にJ.A. Henckels Internationalも商標登録し、のちに「一人マーク」のバリューブランドとなる。なお、Zwilling日本語HPでは、英語訳"Cutlers' Guild(刃物師同職組合)"を「カトラーズ・ギルド」と直訳しているが、いやしくも公式HPなら、カタカナの孫引きで済まさず、独語原文から正しい日本語に訳し直すべきではないか。

■ゾーリンゲンは中世から刃物の町として知られる。商工業の盛んなドイツ中西部に位置し、50km圏内にはケルン、デュッセルドルフ、ボンがある。人口は16-17万人に過ぎないが、約1万人が刃物産業に従事し、集積する刃物メーカーは数百とも千社以上とも言われる。その中でもJ.A.Henckelsは19世紀、とくにJohann Abraham sen.(1771-1850年)、Johann Gottfried(1804-1858年)、そしてJohann Abraham jun.(1813-1870年)の時代に、生産と販売の両面で大きく飛躍した。まず生産では、1853年に初の蒸気機関を導入して大量生産を実現し、1858年に独自の製鋼工場を開設し一貫生産体制を作った。中世以来の職人仕事を「刃物産業」に変身させ、工業化・産業革命を成し遂げたと言えよう。

■量産体制と平行して、販売体制も強化した。まず、1818年にベルリンに進出し最初の直営支店を作ったのが、その足がかりだった。次いで、ロンドン万博(1851年)、パリ万博(1855年)、シカゴ万博(1893年)、セントルイス万博(1904年)、サンフランシスコ万博(1915年)にも出品し、国際的名声を得た。その上で、ニューヨーク支店(1883年)、ウィーン支店(1884年)、コペンハーゲン支店・ロッテルダム支店(1897年)、米国支社(1909年)を開設し、直営販売を行いながら海外流通を広げた。

■Zwilling英語HPではJ.A. Henckelsについて、「Johann Abrahamが早期国際化を推進した」と位置づけているが、史実を誤認しているのではないか。彼は1836年に引退し1850年に逝去しているため、万博出品(1851年~)や海外支店開設(1883年~)には、時期が合わない。彼の貢献はむしろ、1818年にベルリン支店を開設したことだろう。ローカルな刃物職人が、販売を刃物専門店に委ねるのに満足せず、自ら大消費地ベルリンに乗り出し、直営販売店を作ったのは、グローバルな刃物メーカーに飛躍する発想の転換だった。それは、海外支店開設やデパート出店等にマーケティング展開する出発点となった。

■現在のツヴィリングは、100ヶ国以上で販売され、利益の80%を海外で稼ぐ。いまやパリ支店(1927年)、カナダ支社(1956年)、オランダ支社(1958年)、スイス支社(1968年)、日本支社(1973年)、スペイン支社(1991年)、台湾支社(2002年)、フランス支社(2003年)、イタリア支社(2004年)など、10支社を持ち、世界合計で2300人の従業員を抱える。製造拠点も、ドイツ本社以外に、米国、日本(前述)、中国にもつ。ここ10-20年はとくに買収・合弁に積極的だが、本社HPは、ブランドイメージに比べ、ビジュアルもコンテンツも意外に素朴だ。

ツヴィリングJ.A.ヘンケルス社史
http://www.zwilling.com/locale/en_ww/...
http://www.zwilling.jp/index.html

ツヴィリングJ.A.ヘンケルス 料理バサミの世界的元祖 GoodDesign賞

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テリー画像 投稿者:
テリー
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  • 価格: 8,400円
  • 2007/07/10更新
  • 2005/07/01登録
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