沢木耕太郎/かつて白い海で戦った
よほどのボクシングマニアでないかぎり、このノンフィクションの主人公である「カシアス内藤」という名前さえ、知ることはないだろう。ぼくはむかしかなりボクシングが好きだったので、カシアス内藤というボクサーは知っていたし、東洋太平洋ミドル級チャンピオンであったというくらいの知識はあった。
しかし、ただそれだけの知識であり、それ以上知りたくなるような戦績的な魅力もなく、混血の異貌以外にさして印象もないこのひとりの男の、長い長い、「一瞬の夏」のような戦いの季節について、まるで自分自身以上の何かがそこにあるように追い続けた、沢木耕太郎の渾身のドキュメンタリー。
何に目を向けて書くか、というのは、つい大きなものや成功者についてばかりにしかドラマはない、と思いがちだけれど、もう読み出したら朝まで読み続けてしまうようなこの本を読めば、その後のスポーツ・ンンフィクションのあり方を根本的に変えてしまったのだろうということが、よくわかるのです。
- 2005/07/02更新
- 2005/07/02登録
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沢木耕太郎「テロルの決算」
- (tomacco)
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