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こうの史代「長い道」 (コウノフミヨ ナガイミチ)

 『貴方の心の、現実の華やかな思い出の谷間に、偽物のおかしな恋が小さく居座りますように。』(あとがき)

 『夕凪の街、桜の国』のこうの史代の新刊。
甲斐性なしで、ちゃらんぽらんで、女好きの夫。浮世離れしたノーテンキな妻にはいつまでも忘れられない人がいる。ひょんなことから一緒になったワケアリ夫婦のおかしな恋の物語。

 いつもながら、おそろしく昭和初期な絵柄。時代は恐らく現在に設定されていると思われるのに、内容も絵柄に負けずアナクロで、パッと見仲良し夫婦のほのぼのエピソードが続く。時折『小さな恋の物語』風だったり、西岸良平風だったり、面映さを感じるぐらいの詩心あふれる短い物語の数々。
 だが、そうした一連の過去の幸福感のうちにある作品とはちがい、この作品は一見ほのぼのとしながらも、思いのほか強いほろ苦さ、せつなさが残る。決して後ろ向きでない明るい諦めは向田邦子の「あ、うん」などにも通じるものを感じる。とっても大人の作品だなあと思う。


「わたし あなたと結婚できて良かった こんな夜中に一緒に散歩してくれる人がいるっていいわね。」

こうの史代「長い道」

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Rume画像 投稿者:
Rume
詳細情報
  • 原題: 『長い道』
  • 人名: こうの史代
  • 価格: 857円
  • 双葉社
  • 2005/08/30更新
  • 2005/08/30登録
  • 1404クリック

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コメント (1)

2005/09/03

Rume 2話だけ立ち読みできます。http://books.yahoo.co.jp/book_detail/...

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『夕凪の街・桜の国』のこうの史代の初期作品集。 こうの作品の原点がある、という感じでとてもいいです。 本人は肩に力が入りまくっていて空回りしていて、「これを書いたやつ本...

『夕凪の街桜の国』も もちろんすばらしかったのだけど、 「長い道」は傑作。 道は、全的肯定者じゃないかと読んでいたのだけど、 だんだん、荘介の方がそうなのか、と思ったり...

広島の原爆後の普通の生活を書いてあります。 ここには、被害者も加害者もいなくて、ただただ普通に原爆にあった人々の人生があります。それだけにただ事実を一緒にかみしめるしかな...

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