セルジュ・ルタンス
活動の幅に於いても内容に於いても、ヘア&メイクアップ・アーティストの域をもはや遥かに大きく超えてしまった存在。私にとっては遠い過去の記憶/高校時代の憧れの一人。
何が素晴らしいと言って総合的に素晴らしいのだから「何」とは言えない。そこを敢えて言うなら「色彩」。光のようであり闇のようであり、エキセントリックで挑発的、その上しっとりとシックなのである。この、闇で発光するような酷く印象的な色彩の魔術(実際この人はクリエーターだの芸術家だのというより魔術師だ)、その<色彩>から<形>が時と場所を得てここぞとばかりに立ち現れてくる。何もないところでずっと機を窺いながら潜んでいた、創出待ちの<形>どもが。
セルジュ・ルタンスの女性たち。
彼女らは真に女性として存在しながら、何故か一様に中性的でもある。女性の中のアニムスにも見え、男性の中のアニマにも見える。そして悪戯な小妖精にも、成熟し達観した意識を有する者にも見える。まるで両性具有の、完成された人間のようだ。
そういった両面性の統合は作品全体からも感じられる。全体の雰囲気はデカダンス/頽廃的な表現でありながら、純粋で清廉潔白な魂を感じるのだ(逆じゃなくて幸いだ)。どうしてだか私はいつも「森」を連想する。中世欧羅巴の森。けれどもそれは幻夢の森で、恐らくヴェルヴェットででも出来ていて、質の良いパフュームの薫りが漂っている。パックが見守るなか、印度のお小姓を奪い合うタイタニアやオベロンに扮した女性たちの幻影劇が始まっていたりね。
現在、資生堂ギャラリーで開催されている展覧会は必見。展示法も秀逸で、鑑賞者は深い幻夢の森の暗がりを一足ずつ先に進む。扉を次々に開き辿る旅の終わる頃、瞼の奥にセルジュ・ルタンスの色彩が色濃く息づき始めたあなたは、いつも通りの日々に戻るが、それと気付かず 何かが少し変わってしまっているに相違ない。
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「セルジュ・ルタンス
…夢幻の旅の記録」~9/18(無料)
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2Fのミニシアターでは過去CMも。
ライブラリースペースもとても良い。
ちなみにセルジュ・ルタンスに使われている直線構成のみのフォント、大好きです。
『Visionaire 26: Fantasy』も気になる。
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- 2005/09/02更新
- 2005/09/01登録
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