「怪奇死人帳」
旗本の次男で怠け者の十次郎は古本屋のワゴンセールで一風変わった書物を見つける。題名は「死人帳」,表紙が鉄でできている上,鍵がかかっているのである。本屋の主人に問うても古寺の書庫のお払いものというだけで鍵などはないという。これを求めた十次郎が鍵を壊してこれを開くと,それは死後に死神によって霊魂に渡される所謂「死者の書」,死後の世界の手引き書であった。この書をを信じない十次郎は,版元の住所とされている「ふまずの石」を踏み,自ら死神を招き入れてしまう。刀も槍も通じない死神の「最後になにか望みがあるか」という言葉に対して十次郎は「死ぬ前に好きな将棋を一番」と答え,延命を賭けた必死の対局が始まる……。
鬼才水木しげるの貸本屋時代の傑作中編,「怪奇死人帳」をはじめ,ビビビのネズミ男の登場する短編「はかない夢」,「夢の食糧」,「仙人酒」などを収録した,昭和42年発行のサン・コミックス(朝日ソノラマ)。収録作品のほとんどは,現在筑摩文庫から発行されている水木しげる傑作選で読むことができる。
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