アタラシイセイブツガクノキョウカショ
新しい生物学の教科書
池田清彦・新潮文庫
科学雑誌『サイアス』に連載されていた『教科書にない「生物学」』を改題してまとめたもの。主に高校の検定教科書をネタに話を進める。高校で生物を取ってなかった自分には少々きついところもあるので、サブテキストを思わせる元のタイトルの方がよかったかも。
歴史と同様、細切れの知識部品の集積からは見えてこない、生物への興味、好奇心を刺激する本。
構造主義進化論というオルタナティブな進化論を提唱する著者だけに、ネオダーウィニズムのパラダイムの外からの視点で、生物を物語っている。
とくに、化学進化(=生物の物理化学的前提)や、海底に沈みがちの重いリンをサケ、マスは川の遡上によって陸に上げている?(生物による物質循環)、というあたりは、ぞくぞくもの。
■化学進化(物質から生物へ)
物質~化学物質(簡単な有機物)~生物(複雑な有機物で構成される)の進化の過程を化学進化と言う。
ミラーの行った実験は、原始大気を模した混合ガスに放電(すなわち雷)し続けると、アミノ酸などの有機物が合成されることを示した。
これはまだ単純な有機物であって、たんぱく質のような複雑な有機物(重合体)ではない。重合体の生成には高温が必要だが、高温のままではすぐにまた分解してしまう。高温、低温が反復される場所が必要だが、地球上にあるのか? それは海底の熱水噴出孔だ。松野孝一郎らは、海底の熱水噴出孔を模した実験で、そのことを示した(1999年)。
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