「山の上」のさつま芋の天ぷら
首都圏の和食・天ぷら好きや池波正太郎ファンにはよく知られた、山の上ホテルの天ぷら屋のカウンタで配偶者と二人で食事してた時のコト。
かっちりとした白いスーツに身を包んだショートカットの小柄な女性が一人で入ってきてカウンタに座った。年の頃20代前半くらい。老舗の天ぷら屋の雰囲気に呑まれまいと気合いが入っているのが見て取れて、なんか可愛いらしい。「ちょっとした冒険」の気分なんだろうなぁ。そんな僕はと言えば一人で堂々と入るコトのできる店と言ったらファストフードか蕎麦屋かラーメン屋くらいなモノで、偉そうに言える立場じゃない(笑)。その彼女、ビールの小瓶かなにかを頼んで…うーむ、明かに頼み方を迷っている様子。職人さんも彼女が迷っているのに気付き、「何にいたしましょう」などと声を掛けている。「えーと…えーと…」、「○○とか△△とかはいかがですか?。あと、さつまいもなんていうのもあるんですよ」「あ、じゃあソレくださいっ!」。
…僕と配偶者は目を見合せて、二人同時につぶやいた。「ソレはちょっと…」。
長い前振りですが、ここ山の上には名物と言われている「さつま芋の天ぷら」があります。なんで「さつま芋」なんてありきたりのモノが名物と呼ばれているかと言いますと、この「さつま芋の天ぷら」、でかいんです。厚いんです。普通、さつま芋の天ぷらと言えば斜めに薄切りにしたモノを思い浮べるでしょうが、ココのは円筒形で高さが5cmあります。研究熱心な天ぷら職人さんの技術的デモンストレーションといった感じでしょうか。できあがるまでにたっぷり20分はかかります。ゆっくり揚げるので甘くて大変美味しいですが…これ一つ食べれば歳をとって小食になった僕は充分お腹一杯になります。小さめの焼芋を半分くらい食べた感じかな。かつて一度だけ食べましたが、美味しい天ぷらを前にして芋でお腹一杯になるというのは最悪の気分でした(笑)。
「ソレはちょっと…」と言ったのは、その彼女、沢山食べるタイプには見えなかったんです。多分さつま芋食べたらお腹一杯になるよなぁ、と。彼女はすぐに普通のさつま芋の天ぷらが出てくるモノだと思っているのか他のオーダーはせず、背筋をピンと伸ばしてじっと待っています。
このまま20分待ち続けるのだろうか、とか思いながら僕等は店を出ました。何か、声かけづらかったんだよ。
ちなみにこのさつま芋の天ぷらは銀座の近藤(http://www.kanshin.com/index.php3?...)でも食べられます。元山の上の方がやっている天ぷら屋さんです。
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