ニューエスト・モデル / クロスブリード・パーク
Newest Model / Crossbreed Park
90年発売。彼らにとっての4thアルバムで、メジャーでは2作目にあたる。初めての日本人アーティストの紹介をするときは彼らにしよう、と僕はこのレビューを書き出した頃から密かに考えていた。それは、僕が衝撃を受けた数少ない日本人ミュージシャンであり、音楽の持つ限りない思想性の部分を教えてくれたかけがえのないミュージシャンであるからだ。
86年に結成されたニューエスト・モデル(当時はザ・ニューエスト・モデル)は数枚のシングルやEP、VAに参加した後1st『Senseless Chatter Senseless Fists』(88)をインディーのR・B・Fからリリース。その後、音楽思想を共有できるメスカリン・ドライブと共に88年ソウルフラワー・レーベル(レコード)を設立し、同年には早くもセカンドアルバム『PRETTY RADIATION』(88)を発表した。この頃の彼らの音楽性はソウル・パンクと呼ばれ、なまっちょろい日本のパンクを本気で吹き飛ばすだけの過激性と深い思想を持っていた。中川 敬(Vo&g)は音楽に乗せるメッセージを単純に音楽のみのものとは考えず、常に一つのテーマを持って全く隙の無い考えの元、練りこんでいったと思われる。事実、彼らは社会に対して何がおかしいかを明確に打ち出していたし、それに見合う行動をしていた。そしてメジャーのキング・レコードにレーベルの自由の利くままの状態で契約、3rd『Soul Survivor』を発表。これまでのパンクソングという枠を超え、ここで彼らは完全にロック・フォーマットでリスナーにその存在をアピールした。もちろん歌詞の世界でその姿勢は継承され、そして進化していたのは言うまでも無い。
そして、今回ご紹介するこの作品ではソングライターとしての中川の才能の恐ろしさを充分堪能できる作品に仕上がっている。まず、タイトルにあるとおり、雑種なものがそこには存在する。それは歌詞の世界だけでなく、音楽にも反映され、素晴らしき情景が1曲ごとに、展開されていくのだ。ファンク・カリプソ・ジャズ・もちろんロック。今までのスピード溢れるパンクソングは少し後退したが、その分じっくり聴かせる唄を彼らは用意していた。世の中にはいろいろなものがあり、真実を知りたいとき、人は全てを確認する必要がある。彼らの伝えたいことは、ありのままの事実である。暗い事実にも目をそらしてはいけないよ、と自分の判断を要求されている気分に僕はなった。この世にある差別や、社会問題。そして人間の生き方を問われた気がした。全く英語のない歌詞はストレートに日本人としての僕の脳裏に差し込まれ、単純にグルーヴに飲み込まれることを拒絶する。「ああ」と悲しみに暮れる。答えは自分で見つけなければいけない。
みんな雑ざり物、雑種天国!(#08)
そして、ふと気が付いたことは、彼らもまた、答えを探すために行動を繰り返しているということだった。そう、誰もが自分を持っていれば、交われることだってあるはずなのだ。僕は勇気を与えられた、そして彼らの音楽はそんなとき僕のそばに常にあったのだ。
93年から彼らはメスカリン・ドライブと融合し現在「ソウルフラワーユニオン」として活動中である。中川はこういっている「俺らの音楽の結果がでるのはもっと先でいい」と。彼らは終わりの無い答えを探しているのか?いや、そうではない。飽くなき探究心と、そして自らの行動理念をもって進みつづける普通の人間なのだ。しかし、それをただただ行動し続ける彼らは、本当に素晴らしいミュージシャンであると思う。
なぜか、この作品も廃盤なのが大変悔やまれる。
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コメント (8)
最新コメント5件
2002/04/17
ohsamu ボクは「ビースト・ヒッツ」でしか知りようがないけど,ライブでは"もっともそうな2人の沸点"とか"こたつ内紛争"とか演ってました。SFU名義のライブ盤は,1曲目が"雑種天国"です。
2002/04/18
less ソウル・フラワー・ユニオンになってからでは「WATATSUMI YAMATSUMI」が一番よく聴いてますね。ライブ盤は買いましたが、やっぱほんまもんのライブに行きたいもんです。。。
ohsamu ライブ,いいですよ~。まだ発表してない新曲もガンガンやりますしね。次は延期になった7月のライブに行きマス。
less 彼らは新曲結構やりますもんね。7月かぁなんとかせんと・・
2002/10/20
less 再販盤はデジタルリマスターもかかっているので、前のを持ってた人も楽しめますよね。
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