田中冬二
すぺいんささげの鉢を
外へ出してねてもよい頃となりました
今夜から明日の朝へかけて
太平洋の沿岸は
暖かい雨になるだらうと
海洋測候所は報じてゐます
田中冬二の存在を知ったのは、誰か小説家の書いた随筆によってであった。彼が銀行を定年まで勤め上げ、退職時には本店の人事部調査役であったことを知ったのも、あるいはその時だったかも知れない。その時紹介されていた詩がどんなものだったかは忘れたが、とにかく無性に旅に出たくなった事を覚えている。
飲んでみるとどことなく味気ないような、食い足りないような思いがするのに、暫くたつとまた飲みたくなる。田中冬二の詩は、そんなプレーン・ソーダのような爽やで儚い印象がある。
冬二の詩には亜流が多発したそうだ。それはそうだろう。こんなのが詩なら僕にも書けると、僕もそう思ったのだから。
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