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能「求塚」 (モトメヅカ)

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物語の舞台になった土地って
結構身の回りにあるもので、
能の演目にもなっている「求塚」というお話も
とても良く知った場所であったのだった。

■求塚ストーリー****************************************
西国の僧が都へと向かう途中で
生田の里に立ち寄ります。
そこへ若い女達がおしゃべりをしながら
若菜摘みにやって来ます。
「生田とはこのあたりですか?」と尋ねる僧に
生田の森や生田川を娘達は教えますが、
「求塚」の事は知らないと言って
教えてくれずに帰ってしまいます。
怪訝そうな僧の前に一人だけ娘が残り、
求塚に案内し、謂れを語り始めるのです。

昔、菟名日処女(うないおとめ)という
たぐい稀な美人がおり、
小竹田男子(ささだおのこ)と
血沼の丈夫(ますらお)という
二人の男に同時に思いを寄せられ、
どちらか一人を選びかね、悩んだ乙女は
生田川に遊ぶ鴛鴦を射た方を選ぶと言いました。
しかし男達の矢は同時に当たってしまいます。
罪もない鴛鴦を犠牲にしながらも
決めかねている己の罪深さに乙女は思い悩み、
とうとう生田川に身を投じてしまいます。
それを知った男達は生きて行けないと
お互いを刺し違えて死んでしまいました。
己のせいで鴛鴦や男達を死なせてしまった罪で
地獄の責めにあっているので助けて下さいと言って、
塚の中へ消えて行きました。

僧が乙女の魂を弔う為に経を唱えると、
塚の中からすっかり憔悴し、
やせ細った乙女が現れて、
ありがたいと言いながら、
自分の苦しみを僧に見せるのでした。
男の霊達に両側から身を引き合われ、
頭を鴛鴦の嘴でつつかれ、
火炎に身を焼かれ八大地獄へと追いやられて、
求塚を闇の中で求め求めてようやく見つけると、
その中へと消えて行ったのでした。
*****************************************************

万葉集にもあるこの物語の舞台は今の神戸です。
阪神住吉駅近くに「東求女塚古墳」(呉田 の求塚)。
阪神西灘駅近くには都通(味泥町 )の求女塚。
阪神石屋川駅近くには御影町東明 の「処女塚古墳」。
「古のしのだおとこの妻問いし
 うないおとめのおくつきぞこれ」
と福麿(さきまろ)の歌碑にあるように
「処女塚古墳」が菟名日処女の墓です。
呉田と味泥が男の塚、東明が女の塚であるようです。

乙女が身を投じた生田川、
娘達が僧に教えた生田の森は
今も生田神社に残っていたり、
今までなんとなく通り過ぎていた場所が
物語を知るときらきらと輝き始め、
何かしら特別な場所に感じられるのが不思議です。

この物語、最後まで救いのない、
余りにも陰惨を極めた話ゆえ、
観世流では永い間廃曲扱いになっていた程でしたが、
戦後、観世分家6世銕之丞により復曲されたのです。

能面は前半は「若女」もしくは「逆髪」、
後半は「霊女」を使います。
舞台中央に据えられた塚の中で面と衣装を変えて
後半塚の中から現れる演出になっています。

しかし、この菟名日処女、
たいそうな美人ではあったろうが
優柔不断なオンナだったのだなぁ。
命を落とすくらいなら、さっさとどちらかに決めるか、
どちらも選ばず、もっと良い男を探せば良かったのに。
そうすれば誰も死ななくてすんだのになぁと
現代に生きる”どすこいオバサン”は思うのであった(笑)

能「求塚」

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  • 2005/11/03更新
  • 2005/11/03登録
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コメント (1)

2008/03/17

たかはし 今月末に見に行くので、予習しておかねばと思ったら関心空間に!ありがとうございますー。

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