シュラ
修羅
「もう何も、見たくも聞きたくもござんせん。たとえ、この世に陽がさそうとも、この蛆虫野郎は闇にはまるばかりでござんす・・・思えば無駄な一生でござんした・・・」
1971年、松本俊夫監督。ATG(アートシアターギルド)作品。
ピーター主演『薔薇の葬列』で松本俊夫にしびれたものの、その『薔薇の葬列』以上の衝撃が走った作品。
原作は鶴屋南北の歌舞伎狂言、「盟三五大切」。
愛に裏切られプライドを砕かれた侍が、復讐の鬼と化す。
といってしまえば何だか単純だけど、とにかく、中村賀津雄(現・嘉葎雄)の情念あふれる演技がすさまじい。
冒頭では冴えない侍といった雰囲気の中村が、裏切りを知ってから、まったくの別人かと思うような、人を超えた怨念ふかき修羅へと変貌していく。
目つきひとつ、言葉ひとつにこの世ならざる情念があわだっている。
吹き上がる血しぶき。憎しみという速度。
モノクロームの映像が、その劇画的雰囲気を盛り上げて、そして見事、まんまとしてやられたと膝を打ちたくなるラストもあざやか。
思い出しても鳥肌の立つ、『忠臣蔵』外伝。
人間て、弱くもろい生き物なのですね。
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