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現代人の論語
呉智英・文藝春秋
『諸子百家』というタイトルで、老子から始める浅野裕一には驚いたが、こっちもいきなり孔子が叛乱軍に参加する箇所からスタートする。『論語』は単に安全で無害な体制擁護の思想ではなく、危険な「革命思想」「反体制思想」でもあるという解釈だ。
そして当然、非経学(けいがく)的な解釈。「文学としての『論語』」、あるいは、老荘が反発し、孟子が発展させ、朱子が体系化し、徂徠が注釈し、丸山真男が(徂徠を)解釈した「東アジアの学問・思想の縦糸としての『論語』」という構想なのだ。
また、最高の徳とされる「仁」については、もともと「敷物の上で人がくつろいでいる姿」を表した漢字だそうだ。「くつろぎ」を得るために革命をも辞さず、か?
「くつろぎ」に関して思い出した箇所。「子曰く、疎食を飯い水を飲み、肱を曲げてこれを枕とす。楽しみ亦たその中に在り。」(述而第七)
ちなみに『20世紀とは何だったのか』(佐伯啓思)に、古代ギリシャ人の重要視した「エートス」(倫理の語源)の意味として「親しくあること」「自分がそのなかにいて安らいでいられる」が挙げられている。似てるなー。
引用・参考文献として、フィンガレット『孔子』、白川静『孔子伝』、谷崎潤一郎『麒麟』、荻生徂徠『論語徴』、中島敦『弟子』、ヤスパース『孔子と老子』、浅野裕一『孔子神話』、丸山真男『日本政治思想史研究』などを射程に入れる。
#「科学。それは知と徳の分離である。あるいは、知の徳からの析出である。」にはシビれた。
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