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母型論

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吉本隆明、思潮社

 吉本隆明はどこかで、思想や文学というものは、(一日24時間の)25時間目の話だということを語っていた。25時間目、それは夢の時間、神話の時間だ。部分がクローズアップされ、全体が部分に折り込まれ、断片と断片が接続される、そして「喩」。

 本書は、生物としての人間(ヒト)個体の身体成長段階から、精神や言葉の成長段階を導き、それを社会システム(共同幻想、文化、上部構造)の展開段階に対応させることで、無意識、言語、共同幻想(public illusion)の三者を統合する試み。
 ハイライトシーンをピックアップしてみる。

■母型論
 胎児から乳児へ(エラ呼吸から肺呼吸へ、内コミュニケーションから外コミュニケーションへ)の発生学的変遷を基盤として、「無意識の核」を考察するタイトルチューン。

■連環論
 心や精神は、植物性と動物性のそれぞれの器官の律動、大脳皮質の覚醒した運動の上に総合された建物とする。「植物性」という言葉にひっかかるが、「植物状態」という言葉からイメージを広げることができる。

■大洋論
 呼吸からはじまった音声言語への考察が、母音、乳児の「あわわ言葉」(喃語、falil)へ、そして幼児言語(擬音語、耳言葉)へと進む。

■病気論I
 前項から、異常、病気、といった概念が現れるが、逆に正常とはなんだろうか。それは、「感覚器官の働きが現実から退こうとはせず、内臓系の心の働きが表出をさまたげられる過重な負担をもうけない状態」とされる。

■起源論
 和語(奈良朝以後)以前の旧日本語(琉球語、東北語)の特性を挙げ、乳児期の「あわわ言葉」離脱直後の状態と対応させる。

 神話の失われた時代に、三木成夫の発生学を援用し、フロイトを修正し、マリノウスキーを引用し、記紀、『おもろさうし』を参照し、転倒されたヘーゲル段階論を背景に置いて、神話を再構築する作業。

#「段階からの上方への離脱が同時に下方への離脱と同一になっている方法でなくてはならない」は、『最後の親鸞』で提示した倫理観「<知>から<非知>へ」 の拡張、段階化に当たる。

母型論

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半無人
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  • 2006/04/15更新
  • 2006/01/14登録
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