ダイチノクスリ
大地の薬―ヨーロッパの薬用植物の神話、医療用途、料理レシピ
ドイツのアロマテラピストが書いた本です。33種類の薬草について、神話や伝承、栽培方法、人やペット、家畜への効能、そしてお茶やチンキ、薬草酒、お菓子や料理のレシピなどが記されています。
具体的なレシピが載っているので、実際に試している人もいるかもしれませんが、カモミールのお茶やタンポポの根のコーヒーのように日本でもよく知られていて作用も穏やかな(薬草というよりは食品に近い)ものはともかく、チンキのように薬用効果を期待して使うようなレシピは「ドイツではこういう風に使っているのね」という参考程度にした方が良いでしょう。
訳者もあとがきで「日本語名で同じでも種の段階で植物が異なることが多く、またトータルな民間療法の伝統のなかに位置づけられたものを個別に切り離して日本で試みることはおすすめできません。むしろヨーロッパの医療の発展過程、文化史的、民俗学的読み物として楽しんでいただきたいと思います。」と書いていますが、わたしも同感です。
専門用語が多めで文体も硬め、カラー写真があるわけでもない(その代わりに繊細なイラストがありますが)ので、一気に読もうとすると骨が折れます。しかし一冊のなかに様々な情報がぎゅっと詰まっているので、ドイツの薬草や民間療法について知りたい人にとってはむしろ読み応えがあるでしょう。
10年以上も前のことですが、エストニアで現地の友人の家庭を訪問すると、自家製のハーブティーがしばしば供されました。ミントやカモミールを筆頭に、ラズベリーの葉っぱ、セントジョンズワート、キャラウェイシードなど、さまざまなハーブティーがハチミツのビンと共に出てきました。
日常的な飲み物としてだけでなく、体調が悪いときには医師の処方箋をもらい、薬局で薬用のハーブティーを求めて飲む人もいました。処方箋なしで買うことができるハーブティーも薬局には並んでいて、わたしも寒い冬の夜にはよく魔法瓶に入れて飲みました。風邪を引いて鼻をかみすぎて、鼻の下がひりひりした時、日本から持参した軟膏を塗ったらかえって悪化してひびわれてしまい、血がにじんで見苦しいし痛いしで、大変難儀をしたことがあります。ある朝思い立って、前夜の飲み残しの濃いハーブティーを患部に湿布してみました、数日続けたら傷が治りました。たまたま治りかけの時期だったのかもしれませんが、これには驚きました。
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