田口犬男
詩人。ユーモラスなその詩の世界では、ジョン・レノンが隣でつぶやいたり、イエスがお弁当屋さんを開こうとして弟子からブーイングにあったり、石川啄木がバーでくだをまいている。そうした奇想天外な寓話を紡ぎながら、あくまでもやさしい言い回しで、真理めいたものをさらっと頁に広げてしまうのです。
(画像は「モー将軍」思潮社・2310円)
詩集を買うのはたいてい東京駅ちかくの八重洲ブックセンター。ここの入口横にひっそりと、手帳と歌のコーナーがあります。詩集は更に奥。そこで装丁センスのいい詩集「アルマジロジック」をなにげなくめくり、「都会のアリス」という出会いと別れの詩に釘付けになりました。出会って、いろいろなものを共有して、別れて。別れる理由が「人だから」と言われて感動しながらゴーサインだせるのって、この詩くらいです。恋人からだったら心のちゃぶ台ば思いっきりひっくり返しますよ。
・・・脱線しましたが、以来、田口犬男さんの詩集が出るたびにチェックしてます。
「ぼくがまだ本当に若かった頃」「二〇〇二年二月二十四日日曜日下北沢にて」「誕生歌」「ミス・グローリーのための十三章」などの詩篇が特に好きです。
「急行列車の止まらない駅があるように 急行列車の止まらないかなしみがある そんなひっそりしたかなしみに 胸が虫食われちゃったらぼくの言葉を思い出すんだ こころだって何回も脱皮するのさ 」で始まる「もしもきみが朝ならば」など、リフレインしているうちに覚えてしまった。
読んでいると、「人間はもともとひとりだけど、それは寂しいことではない。」という文章はどこにも書かれていないのに、いつのまにか心に暖かく刻まれてしまう。これを密かに「田口犬男マジック」と呼んでいるのです。
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