バルセロナチェア
ミースは、バルセロナ万国博覧会(バルセロナ万博)においてドイツパビリオンの建物,内装,家具にいたるまでデザインを担当しました。その開会レセプションにスペインのアルフォンス国王夫妻を迎えるためにデザインされたのがバルセロナチェアおよびスツール(オットマン)です。1929年のことでした。
オリジナルの背と座面は四角い山羊革(色は白)を一枚ずつ縫い合わせてボタンで止めるという非常に手の込んだもので、その脚は金属のフラットバーをX字型に手で溶接し、研磨したもの。
当時、ほとんどの椅子は木材で作られていましたから、その素材の組み合わせはとても斬新でした。また、脚のX字型は、古代ローマの力強い王位の象徴である[交差した剣]をモチーフにしたもので、スペイン国王が座る近代の王座に相応しいものでした。
しかし、5月26日の万博開会の日、国王夫妻は署名を終えると、バルセロナチェアに座ることなくドイツパビリオンを後にしました。万博終了後、ドイツパビリオンは取り壊され、オリジナルも失われてしまいました。
その後、バルセロナチェアおよびスツールは1948年にライセンスを得たノール(Knoll)社によって復刻されて以来、ロングセラーを続けています。非常にシンプルな構造でありながら、シートが浮いているかのような軽やかな印象のバルセロナチェアのデザインは、今日に至るまで多くの人々を魅了して止みません。
余談ですが、ドイツパビリオンがモンジュイック(Montjuic)の丘に修復されたのは1986年のことです。
ミースがデザインした椅子は、バルセロナチェアをはじめ、数多く市場に出回っているので購入しやすいでしょう。オリジナルに忠実なのはノール社が製作しているものです。
現在日本でのバルセロナチェアの販売価格は、ノール社製のものが50~60万円前後であるのに対し、他社製のものは10~20万円前後。中には組み立て式のものもあります。
バルセロナチェアは、部屋を選ぶインテリアかもしれません。
なお、バルセロナテーブルとバルセロナカウチ(デイベッド)は、バルセロナシリーズの名を冠していますが、バルセロナ万博のドイツパビリオンのためにデザインされたものではなく、チェコのトゥーゲントハット(チューゲンダート)邸のためにデザインされたものです。
また、トゥーゲントハット邸のためにデザインされた椅子のうちの一つにトゥーゲントハットチェアがあります。このトゥーゲントハットチェアは、バルセロナチェアのボディに、前脚のみで座を支えるステンレス鋼キャンティレバーフレーム構造の脚が付いています。こちらは1965~1976年までノール社によって復刻されていました。トゥーゲントハットチェアと同じくトゥーゲントハット邸のためにデザインされたブルーノチェアは、ミッドセンチュリーデザインの先駈けと呼ぶに相応しい作品と言えるでしょう
ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe,1886/05/27~1969/08/17)
ル・コルビュジエ(Le Corbusie,1887/10/06~1965/08/27)、フランク・ロイド・ライト(Frank Lloyd Wright,1867/06/08~1959/04/09)と並び20世紀の三大巨匠と呼ばれる建築家。彼らと共にミッドセンチュリーデザインの礎を築き上げた。
ミースはまた、1919年にドイツのワイマールに設立されたバウハウス(Bauhaus)の3代目校長を務めた(1930-1933)。
「最小は最大である(Less is more)」「神は細部に宿る(God is in the details)」という言葉に代表される「無駄のない美しいデザイン」を追求し、時代や国境を超えて万人に訴えるスタイルを確立した。
主な代表作に、バルセロナ万国博覧会のドイツ・パビリオン(1928-29)、チェコのトゥーゲントハット(チュゲンダート)邸(1928-30)、シカゴのファーンズワース邸(1946-1951)、ニューヨークのシーグラム・ビル(1954-58)など。
myチェアです。
- 2006/02/26登録
- 3141クリック
このキーワードはコレクションに選ばれています(1)
- メイン
- コメント(5)
- つながり(3)
- トラックバック(1)
つながりキーワード (3)
バルセロナチェア
- (IMU)
近代建築の巨匠ミース・ファン・デル・ローエ デザインのバルセロナチェア。 バルセロナチェアは超有名な逸品で、有名人のお宅拝見なんかでは必ず置いてあると言っても過言ではない...
「l.m.v.d.r.」 シリーズ(Ludwig Mies van der Rohe)
- (@Gallery TAGBOAT)
写真家・トーマス・ルフ。建築好きなら、この人のことはご存知でしょう。プラダ青山店などを手がけたヘルツォーク・デ・ムーロンの建築作品集はとみに有名。今回はそのトーマス・ルフのもう一つの著名な建...
bauhaus
- (ぬほりん)
1919年、ワルター・グロピウス校長のもと、ワイマールに開設された国立学校。最初は単なる建築家を養成する造形学校だったが、ハウハウスのモダニズムは極めてアバンギャルドな性...










