『自衛隊の怪談』
現役自衛官、元自衛官からあつめられた、自衛隊を舞台とした実話怪談集。学校とか病院とか、外部から閉ざされ自律した空間は怪談が生まれやすいけど、自衛隊員の生活環境もまた同様だ。あるいはその究極形とさえいっていいかもしれない。しかもこの本の「まえがき」によれば、旧軍関係の施設をそのまま引き継いでいることが多いというから、土地建物の因縁もあらかじめたっぷり染みついてるわけだ。さらに訓練中の事故はあるし、日航機墜落のような大事故の救助作業に派遣されたりと、凄惨な現場に立ち会う機会も少なくない。そのため自衛隊は知られざる怪談の宝庫となっているのだ。
収録された話はどれも一級の恐ろしさがあるが、恐怖の底に死者への共感が透けて見えるのが印象的。死者が生者と対立する存在ではなく、我々と悲しみを共有する隣人であることが、思いがけず納得される一冊。
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