キイロイメノサカナ
黄色い目の魚/佐藤多佳子
村田みのりは鎌倉の高校に通う16歳。感受性の鋭さゆえ、周囲と衝突ばかりしている。唯一こころを開けるのはイラストレーターの叔父だけだ。
或る日、同級生のサッカー部員・木島悟のいたずら描きを見たみのりは、彼の絵の才能を発見する。木島もまた、無愛想ながらまっすぐなみのりに惹かれていく・・という、スジは青春恋愛小説ど真ん中なのですが、そんなベタなくくりが拍子ぬけするくらい淡々として、みずみずしい描写の物語です。
ふたりそれぞれの視点で書かれた章が交互に進むので、分かち合った出来事をそれぞれどう感じているのか、とか、互いの魅力をどんどん発見する描写が詩的で、余韻が残ります。
たとえば、木島がみのりのことを、地下鉄入口を見上げたときの、四角く切り取られた青空みたいな人だ、と思うところ。また、みのりが木島のデッサンのモデルになったとき、絵描きの目と筆を通して自分のたましいにまで触れられるところ、などなど。
佐藤多佳子の小説では他に、気の短い落語家としゃべりにコンプレックスがある面々との痛快なやりとりが面白い「しゃべれどもしゃべれども」がお勧めです。
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