森野将彦
今年のドラゴンズの注目の人、森野将彦。
中日の三塁手は、立浪のレギュラーポジションだったのだが、しかし今年は一転、立浪のレギュラー確約は剥奪されていた。そしてそのレギュラー争いの、ライバルとなっているのが、森野将彦なのである。
落合監督就任の、一年目2004年、立浪は、不動の三番打者として、中日打線の核となった。もちろんそれは、落合博満が、立浪のバッティングの、その凄さを、充分にわかったうえでの、落合監督の、絶対的な「一手」だったのである。三番立浪こそが、2004年の落合中日の絶対的な「一手」だったのである。そしてその「一手」の、その意味が、立浪に、充分理解されたうえで、その「一手」が、充分に機能したかぎりで、ドラゴンズは、かろうじて、2004年に優勝することができたのである。立浪三番という「一手」が、もしも充分に機能しなければ、2004年、中日は、優勝どころか、Aクラスも、ままなかっただろう。そして去年2005年は、立浪の出来は、今一つだった。立浪が一時期森野にレギュラーを奪われることもあった。立浪が外野を守ることもあった。そして一年トータルで見ても、立浪は、2005年には、いい成績を残すことはできなかった。そして中日は2005年には優勝を逃したのである。立浪の調子が良ければ、ずいぶん結果は違っていたことだろう。「立浪三番」こそが、この二年間の、落合中日の、核だったのである。
そして今年は、立浪は、すでに、「三番」という打順は奪われている。「三番井端」はすでに内定済み。しかも立浪は、三塁というレギュラーポジションすら保証されてはいない。立浪とて、まったくの白紙状態から、今年2006年ははじまったのである。そして元祖「ポスト立浪」こと、森野将彦が、今年2006年、燃えまくっている。絶対にレギュラーを奪い取ってやる、と、森野が燃えまくっている。
ところが一方、森野を迎え撃つ立場の、ベテラン立浪も、なんと、このキャンプで、三千本安打を目指すと、公言しはじめる。「引退」どころか、「レギュラーの危機」どころか、立浪は、「三千本安打」などと、口にしはじめたのである。立浪は今年で三十七歳、そして今年中にも、二千五百本安打は、達成可能ではある。しかしそれでも、三千本安打は、ぎりぎりの数字なのだ。向こう三・四年は、レギュラーをつづけ、三割程度をうちつづけなければ到達不可能な数字、それが三千本安打、である。ということは、いいかえるならば、レギュラー奪取をめざして燃えまくっている森野を尻目に、あえて立浪がそんなことを言いはじめるということは、おまえのレギュラーなどむこう数年在り得ない、おまえの出る幕はない、と、森野に立浪が、言い切っているようなものなのである。「エリート」立浪も本気なのだ。
三月二十五日、オープン戦にて、森野は藤井投手より死球をうけ、右小指を骨折してしまう。したがって森野の開幕一軍は絶望的となり、レギュラー争いとしては、とりあえず、立浪の勝利となる。しかしそれとて、とりあえずのものにすぎないのである。落合監督はこう言っている、中日は今年ほんとうの戦う集団になった、と、そして今の中日の強みはほんとうの競争原理が働いていることである、と、つまり皆がとうとう野球をすることにほんとうに目覚めた、と、野球はなにが起こるかわからない、しかし皆が上をめざしている、と。エース川上も、リーダー立浪も、レギュラーが確約されているわけではなかったのである、かれらとて白紙から、自らの立場を、(再)獲得したのである。そしてキャンプ・オープン戦をみればわかるように、とてもハイレベルな、レギュラー争いが、チーム内で、繰り広げられているのである。そしてそのなかでも、もっとも激烈な、厳しい立場にいたのが、森野将彦なのである。秋のキャンプでは、恐怖の「落合ノック」の洗礼を浴び、脱水症状にすらいたり、森野本人は、「思い出しただけで吐き気がする」とすら、語っている。素質は誰もが認めるものを持ちながらもしかし未完のままで早十年が過ぎようとしている森野将彦。天才立浪の前で、怖じ気づいていてしまっていた秀才森野将彦。そんな森野将彦が今年は燃えに燃えている。
小指の怪我は数週間で治るそうだ。四月は無理でも、五月には一軍に合流できそうだ。多少痛みが残っていていも、すこし無理してでも、はやく一軍にもどりたい、すぐにでもプレーしたい、と、森野は、勇ましく語っていた。森野将彦の本格的な開花が、落合中日の三年目の成長を象徴するとわたしはおもっている。今年は森野に注目だ。
今年もまた野球が始まる。
「負ける気がしな」「ぶっちぎる」、落合博満は、あたりまえのように、そう語っていた。
うん、わたしも、まったくその通りだと思う。
負ける気がしないのだ。
八月七日
八月五日の、ヤクルト戦より、森野将彦選手が、五番に昇格した。これは大事件だとおもう。
オールスター戦が終わり、福留が復帰したことで、今年はじめて、すべてのメンバーが揃い、もちろんそれも、大事件ではあったのだが、しかし打順としては、五番森野の実現こそが、最後の詰めだったのだろう。これが、現在可能な、ベストの打順だ。落合中日の、三年越しの、(控え選手も含めたうえでの)最高の完成形だ。お見事、落合監督。
その最後の詰めを実現した、その日のゲームに、森野本人が、きっちり活躍するのだから、やはり今の、落合中日の、緻密な機能ぶりは、尋常ではない、と、言うべきだろう。
森野選手も、今年はこのまま、最後まで行けそうな気がする。かれがこのまま最後まで行けて、五番という打順をかれがまっとう出来れば、おそらく、落合中日は、危なげなく、優勝することができるだろう。
八月のドラゴンズ祭りを大いに楽しみたいものだ。
- 2006/08/07更新
- 2006/03/31登録
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