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Leonard Foujita

藤田嗣治展 / 東京国立近代美術館

  • 藤田嗣治展 / 東京国立近代美術館の画像

5/21まで東近美で開催後、京都と広島に巡回する、藤田嗣治の生誕120年記念として初の個展が開催されています。藤田嗣治(レオナール・フジタ)は、青年期に渡仏、エコール・ド・パリの代表的画家として活躍しました。20年代終わりの世界恐慌の影響から中南米経由にて帰国し、日本画壇にデビューしますが、おりしも始まった第二次世界大戦中は戦争画を描きます。敗戦後高まる戦争責任の軋轢の中、フランスに戻り、後には帰化し再び日本の土を踏むことなく亡くなりました。


とにかく波乱万丈な生涯の中、常に祖国から評価されることなく、伝説ばかり印象強い作家だったようです。20年代のパリ時代は終戦後の「狂乱の時代」で最も華やいだ時代ですが、藤田が最も賞賛された時代でもあります。煌びやかなパリの社交界で自らをユニークに表現する様子は、遠い祖国からは「国辱」だと非難されます。藤田はただ、常に日本人足ろうとしていただけなのに… 常に藤田と日本との関係は切ない片思いといっても過言ではありません。


唯一、相思相愛になった時が第二次世界大戦中というのがなんともやるせない…終戦後は強い思い故におもいきり憎まれてしまいます。一時期は熱愛だったのに、ちょっと立場が変わると嫉妬されたり陰口を叩かれたり…まさに恋愛です。藤田ほど、日本を大切にした画家は当時いませんでした。学生時代、黒田清輝を中心とした西洋の影響そのままの外光派に反発し、墨を用い、日本画用の面相筆を使ったからこそ、あの多くのパリ人達を魅了した「乳白色の肌」が生まれるのです。


しかし、私が一番強烈に印象に残ったのは、やはり戦争画でした。「アッツ島玉砕」は何度か常設展でも見ていますが、あらためて見ると本当に凄い力のある作品だと思いました。これを見て心を動かされない人はいないのでは…?と思う位、尋常ではないものを感じます。それゆえにタブーとなったのかもとすら思います。作家の全身全霊の画力が注ぎこまれていて、それは藤田が純粋に「誰かのために何かをしたい」という気持ちの現れだったのではないかと思うのです。戦争画については色々な解釈がなされていますが、私は、それは恋愛においておこりうるどうしようもない熱情のようなもの…「好きな人のためには徹夜でセーターを編んでしまう」というような、そんな作用なようなものに感じてなりません。


初期からの作品を一貫して眺めると、なんて手先が器用で才能に恵まれた人だったのだろうと思います。そして裏腹に内面は繊細で不器用で…誤解されやすい人だと。それ故の孤独に一生悩まされた。作品とは別の作家自身の振るまいで沢山の誤解や伝説を生んだ(生んでしまった)点は、悲劇とも喜劇とも誰にも決められるものではありません。藤田の戦争画も、美術史上の多くの戦争画がそうであるように、いずれはタブー視なく堂々と展示される日が来るのだと思います。その時、藤田の伝説はまた新たに書きかえられるのです。


- - - - - -
KWを書くにあたり、「藤田嗣治「異邦人」の生涯」/近藤史人著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/... という本を読んだのですが、この本はかなりまとめられていて、もはや私が書く事は何もないという感じです。本の中では「言った/言わない」の論説が多く、実際多くの事実は謎のものが多いです。しかし、そんな事実も含め、もし少しでも興味をお持ちの方がいらしたら、是非是非ご一読をお薦めします。


<巡回予定>
京都国立近代美術館 5/30-7/23
広島県立美術館 8/3-10/9

東京国立近代美術館 3/28-5/21
http://www.momat.go.jp/Honkan/...

藤田嗣治展 / 東京国立近代美術館

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プーク
  • 2006/04/05更新
  • 2006/04/03登録
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コメント (12)

最新コメント5件

2006/04/12

umiumi 昨日観にいきました。ちょうど出口脇で売っていたので、本も購入&読了。今まで断片的なイメージだけで捉えていた藤田嗣治を改めて考えるよい機会になりました。本、面白いですね。藤田のあの孤独で波乱に満ちた人生、そして時代がそれ自体興味深いものなのもありますが。

2006/04/13

プーク umiumiさん、ご感想有難うございます。私も出口の脇で買いました。本当に藤田の生きた時代そのもの(=20世紀)はとても興味深いと思います。藤田はふたつの大戦、ふたつの国を生きた、と考えると凄いことだなあとあらためて思います。ところで、本で紹介されていた、藤田が疎開先にまで持参した生涯大切にしたという作品「私の部屋、目覚まし時計のある静物」、とても気になりませんか?(私だけ?)図版にもないし、ネットでかなり一生懸命探したのですが見つかりません…。フランス国立近代美術館に所蔵されているのはわかっているのですが。。

2006/04/15

umiumi 「私の部屋、目覚まし時計のある静物」、気になります気になります。私もちょっと調べてみたり藤田好きの知人にも問い合わせたりしてみました。彼は「見たことあると思うよ、レゾネチェックしてみるね」って言ってくれたんですが‥ あれだけ話題に事欠かない絵なのに。分からないとなると益々気になるのです‥

プーク umiumiさん!ちょっと今、更に真剣に探しましたよ!!ポンピドゥセンターのサイトから、Du Musee National d'art Moderne のコレクション検索ページにはいり、「Foujita」(Fの次にOをいれるのがポイント)で検索すると出てきました。左上のものがそうでしょうか?でもこの作品、違うタイトルで見たような…!?本の中は違うタイトル標記だったのでしょうか!? http://collection.cnac-gp.fr/inter/ この作品であっているのでしょうか?制作年とモチーフからいっても間違いないと思うのですが…

umiumi おお!流石です、プークさん。わぁ、ありがとうございます。 で、作品ですがこれで 間違いないと思います!が‥私もこれ見たことあるんですよね‥どうして、タイトルと結びつかなかったんだろう?何でみたんだろう? 最近自分の記憶力が自分で可愛そうになるくらいなので、なんともいえないのですが‥ とにかく探し出されたその手腕に恐れ入ります。感謝。

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『藤田嗣治展』

  • De Stijlの日記 | Tracked: 06.5.13 9:53 pm

国立近代美術館で開催されている『藤田嗣治展 ー パリを魅了した異邦人』に行く. 画家としての藤田のキ…

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