Collection of the Fondation Cartier pour l'art contemporain
カルティエ現代美術財団コレクション展 / 東京都現代美術館
7/2まで東京都現代美術館にて開催中、カルティエ現代美術財団の世界で初めての大規模なコレクション展です。カルティエは説明不用のフランスの装飾品のブランドですが、一方企業メセナとして現代美術の支援を1984年から開始、カルティエ現代美術財団を設立し主に注文制作の展示・収集を通し支援活動を行ってきました。
この財団の活動が他の美術館の活動と異なるのは、いわゆる美術史の制度から開放されているという点です。公立美術館のコレクションは「歴史的に価値があるもの」しか収集出来ませんが、この財団のように私財で運営されているものはその点軽やかに動けます。カルティエはその利点を最も意識している財団といえるでしょう。本拠地のパリではジャン・ヌーベルによるガラスと鉄骨による建築をかまえ、常に外部からの視線にさらされる空間、そして常に一定の中身ではなく作家によって色を変える存在が指針として表われています。
今回の展覧会は、常設展のスペースを持たない財団にとって初めてのまとまった展示ということで、財団側のやる気とはしゃぎぶりは大変大きいものだったそうです。そんな「わーい」「やったあー」といったハッピーな感じは展示空間にあふれており、どの作品も作家の意志を尊重したであろう隙のない贅沢な展示に仕上がっていると思いました。
個人的によかったのは、ボーラン・ドメルク、デニス・オッペンハイム、ウィリアム・ケントリッジ、ロン・ミュエク…などなど挙げるときりがないのですが、今回得に印象に残ったのはナン・ゴールディン「性的依存のバラード」(1979-1995)。彼女の作品には目を背けたくなる人生の負の要素…暴力や売春、ドラッグやエイズそして死が日記のようにリアルに映し出されており、どちらかというと苦手だったのですが、今回軽やかな音楽にあわせてのスライドショウとして見ると、悲喜交々の奥にあるあたりまえの愛や感動が透けて見えてくるような気がしました。こんな風に感じたのは初めてで、写真集を眺めているだけではわからなかったと思います。よい経験でした。
アクセサリーも美術も、生死に直接は関係ないものかもしれません。ですが、私達は美しいものや感動を欲しています。時にその欲望は諍いを起こしたり、余計な負のエネルギーを生んだり、混乱させます。所有欲に振りまわされることなく、「美は自らの源にある」と私達が気が付くためにも、所有し得ない美術を見に展覧会へ足を運ぶのは如何でしょうか。豊かさの意味を問うために。
カルティエ現代美術財団
http://www.fondation.cartier.fr/...
東京都現代美術館
2006年4月22日(土)~7月2日(日)
http://www.mot-art-museum.jp/kikaku/
- 2006/04/24更新
- 2006/04/24登録
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