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Toru TAKEMITSU / Visions in Time Tokyo Operacity Art Gallery

武満徹 ─ Visions in Time / 東京オペラシティアートギャラリー

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世界的に活躍した作曲家、武満徹の世界を幅広く紹介する展覧会がオペラシティで6/18まで開催されています。武満は会場である東京オペラシティ文化財団の芸術監督でしたが、完成を見ることなく他界します。没後10年にあたり開催されたプロジェクトは、音楽/美術の垣根なく多面的な視点で作家を捉えるとても興味深いものになっています。


武満徹の楽曲をいくつ知っているのか、と聞かれたら「死んだ男の残したものは」(谷川俊太郎/詞・武満徹/曲)くらいなもので、代表作「ノーヴェンバー・ステップス」等知識としては知っていても実際聞いたことは全くないことにあらためて気がつきました。現代音楽を拝聴する機会はあまりないものではないかと言い訳を考えつつ、いや、でもやはり武満徹の活躍は「音楽」というカテゴリーに収まらない広範囲に及ぶものだった故だと… 今回の展覧会ではそう実感する契機になりました。


実験工房での活動、クレー、ルドン、華岳らの作品とそれらからインスパイアされた作品。交友があったジャスパー・ジョーンズ、サム・フランシス、宇佐美圭司、堂本尚郎、加納光於らの国内外の芸術家の作品や彼らとのコラボレーションによる作品…それらは、武満が音楽を芸術・文化のいち側面として考えていたから生まれ得た作品であり、氏の美意識を伺い知ることが出来ます。美や、それを享受する感性は、横断可能なもの…くだらないジャンルに縛られることなく、否応なく伝わってくるもの。武満は芸術の持つ力を信じ、それを独自の思想におきかえ作品で表明していったのです。

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学生の頃に読んでいた小澤征爾氏との対談集「音楽」を読み返してみました。気になった言葉をいくつか抜粋・引用してみます。


「いま、日本の音楽界を見ていると、外見はすごく活発でしょう。あれだけ世界の名演奏家が来て素晴らしい演奏が聴けたり、それが毎日のように演奏会があって、ほとんど切符が売切れたり―。そういうことがあるにもかかわらず、われわれは明治からいままで音楽をやってきて、ほんとにぼくたちの生活の中にあるかといったら、まだないんだよね …(中略)…もうちょっと、ぼくらの生活と音楽というのが密接なかかわり方をしなければ駄目だと思うんだ」


「でも、作曲なんてやっていると、ぼくなんか自分で書いた作品というのは、どうしたってそれで生活できるわけないんだし、結局、対象は、自分とほんとに2、3の友達というようなことに、ぼくの場合はなるわけだよ、さっきあなたは人間味と言っていたけれども、非常にいいこと言ってたよ、いま、音楽は人間のためにというのは、つまり文化ということは、それはこういう文明の行き過ぎに対して、もとへ引っ張る力でなきゃいけないんだ。いまの日本の文化のありようというのは、こういう行き過ぎた文明をもとへ戻す役というのをしなくて、いっそう向こうへ押しやっているんだよ、それがいちばんいけないことなんだよ」


対談は1974年にされたものですが、当時の社会背景が伺い知れます。戦後、日本の社会状勢が安定し経済がますます発展していく中、真の意味での文化の役割、生活と文化について強い意識を持っていたのか…あらためて読むとハッとします。武満は音楽を通して西洋と東洋の違いから、古典と現代の違いまでまさに古今東西の思想を横断し、そして常に「未来」に目を向けていた。 …20世紀を代表する偉大な作家だったと、実感せずにはいられません。

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それにしても、実際の楽曲を聴く機会があまりにありません。今回の展覧会にあわせて、オペラシティのコンサートホールの方では数々のイヴェントが予定されているようです。(これはよい機会です)http://www.operacity.jp/concert/

また、連休中には「タケミツ・ゴールデン・シネマ・ウィーク」として、武満が音楽を担当した映画の上映会が実施されていました。http://www.operacity.jp/...
私は日記http://www.kanshin.com/...で教えて頂いた「砂の女」/ 勅使河原宏(1964) を観に行ったのですが、これがまた良かったです。衝撃的な映像表現。武満氏の抽象的な音楽が安部公房の不条理な世界とマッチしており、なんともいえない世界観が醸し出されていました。 ますます武満氏の世界に興味を持ちました。
  


東京オペラシティアートギャラリー 2006/4/9 - 6/18
http://www.operacity.jp/ag/exh72/

武満徹 ─ Visions in Time / 東京オペラシティアートギャラリー

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プーク
  • 2006/05/07更新
  • 2006/04/30登録
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コメント (6)

最新コメント5件

2006/05/02

プーク そうなんですよね…!私も、最初に名前を知ったのが何時だったのか、もはや思い出せません…。この方の音楽は知らないのに、存在だけはよく知っていて。展覧会では氏のドローイングや、独自に開発(?)した円形の楽譜?や、文章など幅広い才能が紹介されていて興味深かったです。それと、来場者が何故か男性ばかりでした…美術館っていつも女性ばかりなのに(不思議です)。 クラシック音楽の広告ですか…祥さんの手掛けられたお仕事、拝見してみたいです。

ikm. 武満の作曲と知らないでTVや映画で聞かされていた曲がかなりあるはずです。昔、NHKでやっていた「未来への遺産」のテーマ曲あたりから、頻繁にかかるようになりました。「どうしたってそれで生活できるわけないんだし・・・」やっぱり、だれでもそんな時代があるものですね。

プーク ikumaさん、コメント有難うございます。そうですね…気がつかないうちに耳は武満音楽を体験していたのかもしれません。武満氏はそのワイドな活躍とは裏腹にとても質素な生活を好まれていたそうで、展覧会にはその生活ぶりが伺える遺品なども展示してあり興味深かったです。氏の手描きのレシピにはオリジナル料理「貧しい菜(まずしいな)」も紹介されており、苦労した時代にもオリジナリティを持って生活を楽しんでいた様子が伺えます。豊かさの質というものについて、考えさせられます。

2006/05/07

キイ 芸術新潮の最新号買って只今はじめての武満徹、自主学習中です。「ノヴェンバー・ステップス」しか知らないんですよ・・・。

プーク 「ノヴェンバー・ステップス」をご存知なんて、流石キイさん!「芸術新潮」の記事はいつも独特で興味深いですが、今回の武満特集もなかなか勉強になるようですね。(私も買おうかな…) 何か、これは!という発見がありましたら教えて下さい!

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