Arnold Billon 懐中時計
スイス・ロックル製の手巻き懐中時計。1900年頃。ハンターケース(蓋付きケース)。
外側の模様がすり減ってほとんど消えてしまっている。それは新品にはない不思議な魅力。
蓋を開けると鏡面状の蓋の内面が光を反射して文字盤を照らす。陶板製の文字盤は100年を経ても純白で美しい。ケースサイズは直径50ミリほど。大きすぎず、手のひらに心地よい。
ちなみにオープンフェースケース(蓋なし)の場合、リュウズは12時位置だが、ハンターケースの場合、リュウズが3時位置にあるのが普通。
どうしてなのかは、実際使ってみると分かる。
右手でポケットからチェーン伝いに時計を握り、目の前に出して手のひらでリュウズを押して指を緩めると、蓋が中指の上にポップアップ。12時がちょうど上になる。時刻を読んだら指を握るとかちりと蓋が閉まる。
この蓋を開け閉めする動作がなかなか心地よく、つい意味もなくパカパカやってしまう。
折りたたみ携帯電話に近い感覚。
ついでにちょっと脱線。携帯電話って現代の懐中時計なのではないか?
懐中時計を持っている感覚は、携帯のそれに近いように思う。
懐中時計のオープンフェイスとハンターケースの違いは携帯のストレートと折りたたみの違い。
携帯ストラップは、懐中時計のチェーンにつける飾り(Fob)の遊び心にも通じる。
そして機械式腕時計が再認識されてきている昨今、近いうちに機械式懐中ブームがきっと・・・(?)
あるいは、時計の歴史を当てはめるならば。
携帯電話がそのうち進化してリストフォンに変化するのかもしれない。
歴史どおりならば、戦場でリストフォンが広く使われるようになり、その後一般に普及する。
その中で防水機能も強化されてゆく。ということだけれど。
果たして・・・?
この時計に刻まれている「Arnold Billon」はスイス・Locle市に多数あった小さなメーカーの一つなのでは?と推測。アメリカで始まった大量生産にスイスが押されていた時代。(参考情報:スイス時計の歴史)
ネットで検索するもほとんど情報は見つからず、製作年も不明。
ちょっと手作り感のある機械で、凝ったディティールながら、精度はいまいち。だけど、味わいがあって面白い。
ローマ数字の陶板文字盤に、繊細ながら読みやすいブレゲ針。大きめのスモールセコンドが見やすい。ゼンマイはリュウズで巻き、時刻合わせはダボ押し。(サイドプッシュ。リュウズ脇のピンを押し込みながらリュウズでセットする方式で1900年前後に用いられていた。)
無名の時計だけれど、当時は時計自体が貴重品。
百年を経てここにあるということは大事に使われてきたということなんだろう。
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