トクトミソホウキネンカン
徳富蘇峰記念館
徳富蘇峰.江戸時代末期に生まれ戦後高度成長期直前までを生き抜き、膨大な数の著作を残したこの人物の記念館に初めて行って来た.
東海道線二宮駅から徒歩で15分ほど、まだ屋敷林が多く残る西湘の落ち着いた界隈の一角にある.この記念館は、戦前・戦中・戦後にわたって蘇峰の秘書を務めた塩崎彦市(故人・自らは実業家にして蘇峰の熱烈なファンだったらしい)の邸内に1969年に建設されたもので、蘇峰自ら塩崎に託した書簡・蔵書・揮毫・原稿・遺品が展示されている.
仕事場の平日休み、地図を片手に出かけたのだが、訪問者は自分以外には全くいない.インターホンで来意を告げ鍵を開けてもらって入館、入るといきなり明治の元老山形有朋が蘇峰の国民新聞社のために揮毫したものが無造作にかかっていて面食らう.
まず名前と住所を記帳した後、館員から展示物の説明を受ける.そしてこちらから質問をいくつか.
記念館の3階建てのコンクリート建物の1階は『近世日本国民史』全巻をはじめとした蘇峰が出した単行本全てと蔵書、原稿などの他、吉田松陰の真筆などもあった.関東大震災の当日ですら、被災した自宅の庭に机を出して執筆活動を続けたという蘇峰だが、特に雑誌や新聞などに寄稿したものについては散逸しているものも少なくなく、執筆活動の全容に関しては記念館でも把握しきれていないという.
2階は特別展示室になっており、年毎の企画に応じて所蔵品の中から選んで展示されている.
さらに、執筆に使っていた筆や硯にはじまり、愛用の懐中時計、蘇峰がロンドンで購入したという眼鏡の類からさらには蘇峰が医者から処方された薬の箱までがガラスケースの中にところ狭しと展示されていた.
さほど広くない館内に膨大な展示物が凝縮されており、なにか黄泉の国にいる蘇峰の息吹がここに吹き込まれているように感じる.
展示されていない書簡類については、目録に掲載されているものは依頼により閲覧可能.
現在でも存命中の人物では中曽根元首相が代議士になりたての頃、当時熱海・伊豆山にいた蘇峰をしばしば訪ねていた.中曽根は自著でその際の蘇峰とのやりとりの断片を明かしており、かねてから蘇峰と中曽根のかかわりを知りたいと思っていた.そこで、その頃(昭和20年代)に蘇峰と中曽根が交わした書簡類を資料庫から出して見せてもらう.十数点を閲覧.中曽根が地元高崎で開いていた青雲塾での講演会に蘇峰をしきりに呼ぼうとしていたことなどを知る.
記念館では年ごとにテーマを設定し、企画展としてそれに関係する所蔵品を公開しているが、数年前中曽根の書簡類が展示された際には中曽根本人もここをわざわざ訪れたのだというから、中曽根の蘇峰への思い入れがわかるというものだ.
近くに食堂などが全くないことから、本格的に蘇峰研究に打ち込む研究者は弁当持参で通いつめることもあるという.
入館料¥500、開館は月・水・金の10:00~16:00、館内は撮影禁止.
午後から行ったのだが、ここまでいろんなものが展示されているとは思わなかった.
じっくり見るには時間がなさすぎだったのでいずれ再訪予定.
徳富蘇峰記念館ウェブサイト
徳富蘇峰―日本ナショナリズムの軌跡
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