シイナリンゴ/ショウソストリップ
椎名林檎『勝訴ストリップ』
有名だから、今更言うこともないけど、僕はこのアルバムから椎名林檎を聞いた。結構好きだった。東京事変まで、続けて聞いていた。
最近聞き直してみたが、あの頃とイメージが少しずれている。
「罪と罰」にあるようなロックスターとしての存在。「ギプス」にある淡い歌姫として存在。メッセージ性溢れる曲達。それがこのアルバムに、あるいは林檎に対する僕の評価だった。
今聞くと、まず耳に付くのが過剰なまでの音楽。ノイズというキーワードから、『勝訴ストリップ』は理解していたが、それとは違う過剰なまでのメロディの演出。後々のオーケストラ演奏を予感させるような多重奏としての過剰な音楽。本当は林檎の言葉だけが響く瞬間が、彼女の伝えたいことなのに、演奏に隠されているというスタイル。もちろん伝えたいことがあったのか、はわからない。しかし「月に負け犬」の歌い出しに心を震わされるのは事実である。一瞬だけ光る言葉。これがこのアルバム全体を通して感じる印象である。しかしそれも僕の思い込みかもしれない。
後、ほとんどの曲が、音楽が中途半端な部分で、フェィドアウトというより中断されて終わる。ノイズに消されるのではなく、途切れるのである。これも、この後本当は言いたいことが続くのに、途中で切れてしまったという中絶感。
今聞き直すと、椎名林檎は本当にストイックに何も語らずに沈黙していたのだということが実感できる。唯一語っていたかもしれない部分は「病床パブリック」の最後の演奏の部分。途切れた後と途切れる前の間。しかしそれも僕の過剰なまでの意識がそう思っているのかもしれない。
過剰なまでの、音とノイズ。何も語らず透明なテキストとしての音楽、アルバム。
- 2006/06/01登録
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