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岡本太郎「今日の芸術」 (オカモトタロウコンニチノゲイジュツ)

  • 岡本太郎「今日の芸術」の画像

1954年に発刊された伝説の名著が1999年に文庫本として復刻された。序文で横尾忠則が「大きな衝撃を受けた」、解説の赤瀬川原平が「凄い力を持つ書」と書いたのと同じように、ガツーンとやられてしまいました。何よりの魅力は、半世紀近く前に書かれたとは思えない新鮮さ、パワーが宿っている点でしょう。
そして、没後10年、岡本太郎は全く古びていない。それどころか再評価が進んでいる。「太陽の塔」やテレビCMで知られるようになったころには、本当の創作活動は逆にかすんでしまって、通俗的とかいった批判もあった。作品が一定のまとまった形で美術館にコレクションされてこなかったことも原因にあるんでしょう。

それが、死後に美術館、記念館ができ、著作が次々と世に送り出されて、きちんと全体像をみることができるようになった。われわれは「今日の芸術」のサブタイルで岡本が「時代を創造するものは誰か」と問いかけたことについて再認識し、「岡本が創造しようとしたものは何か」と再考すべき地平にようやく立てようになった気がする。
その手がかりの一つが「今日の芸術」だろうと思う。

>今日の芸術は、
>うまくあってはいけない。
>きれいであってはならない。
>ここちよくあってはならない。
>と、私は宣言します。それが芸術における根本条件である、と確信するからです。

本書の代名詞ともいえる上記の有名なフレーズは、第4章「芸術の価値転換」の冒頭で登場する。この章は、確かに本書のキモであり、岡本芸術のマニフェストに違いないのだが、そこに至るまでの「なぜ、芸術があるのか」「わからないということ」「新しいということは、何か」に、「目から鱗」「ハンマーで頭をガツーン」があるんです。

初版の序の中で岡本自身は「創造的な今日の文化を打ちたてるポイントにしたい」と語っている。美術の入門書であり、高度な文化芸術論であり、日本論にまで至っている。今も若者の心を引きつける魂のこもった文章で、薄っぺらなジョーシキをぐいぐいはぎ取ってしまうチカラワザの書でもあります。

芸術を志そうとする若者が読むべきだ。小手先の技術だけうまくなって美大に入ろうとするやつは、頭をぶん殴られるだろう。
教育関係者も読むべきだ。岡本は言う。芸術は本質的に、けっして教えたり教わったりするものではないと。むしろ、先生が純真に、しかも巧みに生徒に教わることが教育だとも説いている。
「芸術なんか分からない」と言う市民が読むべきだ。抽象画を見れば「分からない」という輩は数多いが、「分からない」と言って芸術に近づこうとしなかったことの方がよほど「わけの分からん行為」であったと思えるようになる。
名前だけありがたがって美術展に群がり、訳知り顔で名画を見て「うまい」「きれい」とうそぶく美術愛好家も読むべきだ。セザンヌやマティスなんかへたくそ中のへたくそ。彼らの絵が人の心を揺さぶるのは「うまい」からではないことが、分かるだろう。
紋切り型の文章で表面を繕おうとするマスコミや、人を煙に巻くような難解でへりくつのような言葉を並べる評論家も、読むべきだ。

私は「前衛」が好きです。
おのれと闘い、既成概念を打ち壊し、時代を切り開く。そこにはすさまじい精神力、パワーがほとばしっているから。その代表の一人が岡本太郎です。その宣言文が「今日の芸術」です。

岡本太郎「今日の芸術」

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nob-bro
詳細情報
  • 価格: 495円+税
  • 発売元: 光文社文庫
  • 2006/06/17登録
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