デヴィッド・ボウイ / スケアリー・モンスターズ
David Bowie / Scary Monsters
80年作品。常に新しいことに挑戦し、これまでのキャリアのことを顧みることなくことなく、常に突き進み続ける男デヴィッド・ボウイ。その変化はリスナーを追随させず、常に最前線にあろうとする。そのキャリアの中で不気味に輝く名盤をご紹介したい。
青白い顔をした美しいピエロに扮したデヴィッド・ボウイの写真がジャケット内のそこかしこに散りばめられ、明るい配色で並べられている。コラージュのような印象を受けるジャケット同様、アルバムの内容もそれに沿ってバラバラを繋ぎ合わせたという感じだ。この前3作がイーノと組んだいわゆる「ベルリン3部作(『ロウ』『ヒーローズ』『ロジャー』)」であり、テクノ・ミュージックを内省的に見つめたボウイだったが、今度は辛らつなメッセージを歌詞に載せ、反動的に音楽は非常にポップ・サウンドを掲げた(『ロジャー』にも若干その傾向はあった)。だが、これまでに得たテクノ質感を上手くコラージュしており、全く新しい音楽感覚を彼は整えていたのだ。
まず、「イッツ・ノー・ゲーム(パート1)」では驚きで思わず一度プレイを止めたくなるはずだ。なんと日本人(女性)ナレーションの声との絡み合いを見せるこのナンバー、しかもなんだか日本人の言ってる事がおかしい(笑い)。「俺、現実からしめだされ、何が起こっているかわからない」とか女性が喋ったあと、「♪I am barred from the event」とさっきの日本語を英語にしたボウイの声が聞こえるのだ。逆回転したようなサウンドとアヴァンギャルドなギター、ギターはあのキング・クリムゾンのロバート・フィリップで、サウンドとは無関係にギターが炸裂する(最後にボウイが「シャラップ!!」といって黙らせるほどだ)。
そして圧巻なのは「アッシュズ・トゥ・アッシュ」(#04)。過去の自分(スペイス・オディティ)の続編といえるその曲は過去を一瞬にして吹き飛ばす内容のバラードで、身悶えるほど美しい。このニュアンスのピアノ旋律はジギ-スターダスト時代のボウイには全くなかったもので、グラムを自ら捨て去ったのだという決意を感じる(クリップも秀逸なので、機会があれば見てほしい)。「ティーンエイジ・ワイルドライフ」(#06)にある「俺をカリスマとして扱うのはやめろ」という衝撃の内容。全てがアヴァンギャルドで、挑戦的、そして過去からの継承と脱却が見て取れる。さらに、長年の友人フーのピート・タウンゼントもゲストで参加したり、ずっとボウイと行動を共にしたト二-・ビスコンティが関わった最後の作品とあって、感慨深くもなる。
パンク・ムーブメントに乗っかるほど彼は子供ではなく、過去の栄光で生きるほど、彼は燃え尽きてはいなかった。表現者としての飽くなき欲求は、次の『レッツ・ダンス』(83)で世界的にセンセーションを起こす結果をもたらすが、キャラクターを作ることをやめ「デヴィッド・ボウイ」という自己を見つめなおしつづける孤独な日々がこの後やってきたのも事実だ。
勝手な解釈だが、新しいことをやってみようと思ってもなかなかできるわけじゃない。それをずっと行いつづけてることが、できるヒントだとボウイは言っていると思う。僕は毎日新しいことを探す旅にでかけようといろいろ考えて、そして行動して、たまに自分を見つめなおし粛清して、また旅立つ。何かがぼろぼろになっても、それでもなんとか繋がろうとしているのだ。僕が僕であるためには、僕は自分を信じて自分の言葉を出しつづけていかなければいけない。ボウイの音楽がどれだけ変貌しようが彼は正直にその日を生きている。それがわかるから彼の魅力はいつまでもありつづけるのだと、僕は思う。
ぼくはこのかわいい少女を愛している
彼女が死ぬ日まで僕は愛しつづけるだろう
(#03、スケアリー・モンスターズ)
すさまじいエネルギーを感じて、僕はまた音楽とともにいてよかったと感じるのだ。
「David Bowie / Scary Monsters」を検索
このキーワードを共有する
-
メイン
つながりキーワード (16)
イマン / Iman
- (tomoki y.)
東アフリカのソマリア生まれの元スーパーモデル。デヴィッド・ボウイの妻。 1955年、外交官の父と看護士の母のあいだに生まれた。ケニアのナイロビ大学在学中にキャンパスでス...
ラビリンス-魔王の迷宮-サントラ
- (点在師:AKIMBO)
1986年米制作、同名映画のサウンドトラック盤。 映画の製作総指揮はジョージ・ルーカス、監督はジム・ヘンソン、主演はデビッド・ボウイとジェニファー・コネリー。このサントラ...
DVD : best of Bowie
- (すぎ)
David Bowie ビデオクリップの総集編。実に充実した内容です。ラーメンを投げる China Girl 、ミックジャガーとの競演 Dancing in the St...
73年作品。リスナーに聴く聴かないの選択肢という余地を全く与えさせない圧巻の暴力的なサウンド、ライヴで出てくる他のバンドの息の根を止めてしまうプリミティヴなパフォーマンス...
デビットボウイ
- (かんこ)
永遠のあこがれ、王子様、異性人。昔、毎日毎日彼のレコードしか聞かなかった時期があった。「scary monsters」までのアルバムは全部好きだけど、なかでも「LOW」「...
David Bowie の 1997年の作品。ユニオンジャックのコートをフィーチャーした、とてもかっこいいジャケット。 David Bowie は常に変化して、様々なジ...
グラム全盛というかグラム・ロックの頂点というか、 そのような位置で大いに売れたと思われる、 デビット・ボウイの大ヒットアルバム。 最近なぜか、ヘビーローテーションでかけ続...
Lou Reed / Berlin
- (less)
73年作品。ルー・リードの長いキャリアの中で最も陰鬱で希望のないアルバム。当時の音楽評論家は(一部の雑誌を除いて)このアルバムを「最低」と評し、彼の天邪鬼を呪い、激怒した...
75年作品。アンビニエントミュージックの創始者であり、現在シーンに多大なる影響を及ぼし続けているブライアン・イーノのターニング・ポイントとなる傑作である。 48年サフォ...
やたらとタイトルが長くて困っちゃう第2弾。 一般的に「ジギー・スターダスト」でお馴染み。 あと5年で滅びてしまう地球に1人の火星人が降りてきて、 ロックスターになったり落ちぶれていったりとい...
David Bowie Heathen
- (ためどん)
えー実は、先日、宇多田ヒカルのCDを買いにいって見つけました(^_^; ボウイ様がご自分のレーベルをたちあげられたのも、リリースされてるのも知らなかったおいちゃんは雷にう...
69年作品。ビートルズの『アビ-ロード』に変わって、UKチャートの1位になり、キング・クリムゾンは一夜にして注目の的になった。メタルのようなギターサウンド、不思議なうねり...
Aladdin Sane / David Bowie
- (cage)
いったいNHKどうした?昨日は「Velvet Goldmine」、今日はボウィで明日はT.Rex、明後日はイギー。今グラムがきてるの? で、Aladdin Sane。...
ZIGGY STARDUST
- (ホリヒュー)
グラムロックの大傑作!デヴィッド・ボウイが72年に発表したアルバム。彼がロックスター「ジギー」に扮し、架空のバンド「スパイダーズ フロム マーズ」を率いて繰り広げられる世...
David Bowie
- (やまだくん(仮名))
小学生の頃、大きくなったらBowieのような色気を持った人になりたいと思っていました。っていうか、そのころ(70年代)はちょっと中性的でしたが、その後ダンディーさを重ねて...
DAVID BOWIE
- (イナズマ)
70年代から今も現役のロックスター。ボウイというと70年代のグラム時代が好きな人、80年代のポップやソウルな部分が好きな人、映画俳優じゃないの??とか言う人など様々ですが、最近は芸術家かぶれ...







King Crimson / ...
ラビリンス-魔王の迷...
Brian Eno / Ano...


