THE PRICE COLLECTION JAKUCHU and The Age of Imagination
プライスコレクション 若冲と江戸絵画 / 東京国立博物館
8/27まで東博にて開催、後に京都、九州、名古屋に巡回する江戸絵画を中心とした展覧会です。文字通り、ジョー・プライス氏という一人のアメリカ人によって蒐集された名品の数々が、氏の主旨によって工夫を凝らされた展示空間でキラキラと輝きを放ちながら陳列されていました。
プライス氏って名前はよく聞くけど一体何者なんでしょう? もともと、氏はオクラホマ出身の美術になんの関わりもない技師でした。20世紀初頭、移民の身ながら一代で財をなした氏の父親は、自社ビルの建築設計をフランク・ロイド・ライトに依頼します。若きエンジニアだったプライス氏が最初に父親の会社で働くことになったのも、この建築物だったという縁で、氏はライトと親交を持つことになります。「君はGodのGは大文字で綴るかい。私はNatureのNも大文字で綴るんだ」…ライトは氏に自然畏敬の念と芸術のあり方を説き、更にはNYの日本美術商へも連れてまわるようになり、プライス氏は自身の独特の鑑識眼を身につけていくことになります。
本格的に日本美術のコレクションを始めたのは、来日後、滞在中に出会った悦子夫人の力を得てからになります。美術史的な知識に頼らず、エンジニアの眼から自然描写を構造的に捉えてゆく目線で、プライス氏の眼力は発揮されるようです。故に、氏のコレクションの中心となる若冲や蕭白、芦雪などの逸品が選び抜かれている訳です。世界には数々の有名コレクターとコレクションがありますが、氏のように収集品を見渡して分かりやすいくらい統一感があるのには唸らされます。それにしても、どの作品も秀逸で素晴らしい… 特に無名の作家(作者不詳)の作品によいものが多かった点から、氏がいかに目利きぶりか伺うことが出来ました。
私は、、すみません…!正直こんなに素晴らしいとは思わず、どこか冷めた気持ちで展覧会に挑んでしまいました。まったく迂闊でした。特筆すべきは照明に工夫を凝らした最後の部屋ですが、この部屋こそプライス氏の日本美術の理解が伺い知れ、また尊重し得る空間ではないかと思います。語弊があるかもしれませんが、日本人以上に日本美術を理解されていらっしゃる。言葉にすると野暮なので書きませんが…とにかく素晴らしいです。これからの美術館や展示空間、そして(大袈裟ですが)「生活空間と芸術」というものを考える際に重要なヒントとアイディアに溢れていると思いました。これらの屏風や軸に囲まれてかつては生活していた人々がいた…という事実を、西洋建築の美術館の陳列棚ではなかなかリアリティをもって捉えることが出来ません。このような他者(欧米)による自己(自国)の再発見というパターンは一体いつまで続くのでしょう?本当はもっと考えなければならないのではないかとも思います。
個人的に良かったものは…挙げると枚挙にいとまがないのですが、最初の方にあった作者不詳の「花鳥図屏風」…絵の具がかなり剥奪しているのですが、古色と金地の対比が逆に栄えて美しい。「簗図屏風」…色味の異なる金箔を用いた、構成の美しい作品。そして最後の部屋にあった酒井抱一の「十二ヶ月花鳥図」…繊細なタッチと隙のない構図が織り成す静寂の世界。見ているうちに鳥肌が立ちました。何時間でも見ていられるような、時が止まっているような気さえしました。
今回の展覧会が日本でプライスコレクションの全貌を見る最後の機会になるそうです。東京の後は各地を巡回するようですが、ちょっとでも興味をお持ちの方がいらしたら是非是非足を運ばれることをお薦めします。
東京国立博物館 2006年7/4~8/27
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?...
*以下、巡回予定*
京都国立近代美術館 2006年9/23~11/5
http://www.kyohaku.go.jp/jp/...
九州国立博物館 2007年1/1~2/25
http://www.kyuhaku.com/pr/
愛知県美術館 2007年4/13~6/10
http://www-art.aac.pref.aichi.jp/
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コメント (14)
最新コメント5件
2006/08/04
プーク キイさん、コメント有難うございます!ゆっくり鑑賞できたそうで、なによりです!BRUTUS、電車の中吊りで見ましたが、未見です。年に一度(二度?)の恒例の美術特集、今年は若冲なんだなと。(去年は杉本博司だったのを思うと…むむ、という感じです。)執筆陣が興味深いので明日にでも立ち読みしてみます、情報有難うございました!
プーク BRUTUS、保存版戦略にはまりまんまと購入してしまいました。「不遇の時代もブームの昨今も、一見さんを拒まず、わびさび抜きで成立するバリアフリー日本美術の最右翼。展覧会は満員御礼、ペットボトル茶のパッケージになったって違和感ゼロ、「見れば分かる」美しいニッポンの若冲を語れ!(BRUTUS no.599 / P.45)」 …って凄いなあと思いました。そして、山下先生とプライス氏の入浴ツーショットも凄いです…。うーーーん… 本当に、ブームなんですね。
キイ プークさん、買っちゃいいましたね★保存版戦略にハマったモノがここにも一名(笑)まだ全部読んでないんですが、あのお風呂!!!びっくらこきました。
2006/08/05
Camel 今日の誰でもピカソも若冲でしたね。山口晃が解説していてなかなか面白かったです。
プーク キイさん、そうなんですよね…戦略って分かってるんですけど!でも、若冲ファンなら悪い買物ではないかもと。野菜涅槃図とか、プライスコレクション展に出品されていない図版も盛沢山でしたし、京博の図録をお持ちでなければ持っていて損はないかもです。お風呂場も見られるし(笑)。 Camelさん、そうでしたか… お茶の間まで若冲。うーーーん、このブームはどこまでゆくのやら。山口晃さんは男前ですよね…見たかったです。(BRUTUSでも愉快な出生物語を描かれてました)
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