ライファーズ 終身刑を超えて
映像ジャーナリスト坂上香さんは、米国の犯罪後の更正施設「アミティ」のプログラムを取材したドキュメンタリーを過去に2度制作し、NHKBSなどで発表してきた。映画「ライファーズ 終身刑を超えて」(2004)は、その3作目。
坂上さんが犯罪を映像作品のテーマにするようになったのは、留学時代の思いがあるからだそうだ。
「高校を終えて、アメリカ留学を希望したのは、それまでなんとなく日本で生きにくさを感じていたから。アメリカに行ったときに、居場所があると感じた。それで住みよい世界というものに興味を覚えたんです。それでもアメリカには犯罪が多く、少年犯罪がなんで起きるのか興味を持ちました。犯罪の影には、その本人も気づかない育った環境が強く影響しています。「アミティ」のプログラムでは、そうした子どものころに受けた虐待や、両親の問題が浮き彫りにされる。そうしたことを話すことは辛いのですが、辛抱強く、犯罪者やドラッグ依存症の人たちが話し合っていくうちに、癒されて更生していく。人間は変われるんです。そうしたことがこの映画で表現できればいいと考えてつくりました」(ワーキングペアレンツインタビューより)
ライファーズとは殺人や強盗などの犯罪を犯し、終身刑になった人々のこと。米国には13万人あまりのライファーズが存在しており、中には仮釈放になる人もいるが、一生刑務所から出られない人もいる。
この映画では、服役する受刑者たちが、「アミティ」のプログラムに参加しながら、積極的に自身の罪に向き合いっていく様子、元受刑者たちが社会復帰後に「アミティ」に参加して受刑者の更生に力を注ぐ姿、自分の犯してきた罪を見つめ直してきたライファーズが、他の受刑者達に与えるポジティブな影響や、彼らを取り巻く現実などがたんたんと描かれている。
この映画を見て印象に残ったのは、ライファーズのおちついた表情だ。アメリカ映画の刑務所では、いかにも悪いことをしそうな人相の悪い人物がたくさん出てくるが(笑)……そんなことは、なかった。
たとえば、「アミティ」のプログラムの中の、自分が犯罪を犯すことになった根源の理由にさかのぼるワーク。加害者自身が生育過程で虐待や性的暴力の被害者であり、その体験は事実であることすら否定され封印されている。その抑圧されてきた体験を認め、感じなおし、沸き起こってくる怒りや悲しみを安全な場所(サンクチュアリ)で適切な方法で表現する。同じような体験をしてきた仲間の援助や見守りの中、被害者としての気持ちを表現していくことで、人間らしい気持ちが蘇り、加害者としての体験も感じ直して、その真の重みを知ることが出来るのだ。
「潜在意識は子ども時代につくられる」「深い自己直面が起これば、人は生まれかわることが出来る」という観点から私はこの映画を見たのだが、今のところ「アミティ」のような組織は日本には無い。
http://www.cain-j.org/Lifers/...
http://www.tbs.co.jp/radio/np/eye/...
- 2006/08/27登録
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