マーク・ストランド著/村上春樹訳『犬の人生』
《私はナイトガウンを来た母が庭を抜けて 湖の方に歩いていくのを見ていた。》 なんだか奇妙な短編集なのだ。変にざらりとしたものを残していく短編が多い。いや勿論、優れた小説は一様に何かざらりとしたものを最後に残していく。だがそれにしても、この短編集は奇妙だ。何か、ざらりとしたものを残すことだけが主眼になってでもいるかのような短編群。 訳者が適切な解説をしている。「具体的な意味」や「作者のメッセージ」よりも、「どのくらい説得力のあるイメー...
「ono-deluxe」 いろいろと書き物をしています。(このサイトは、小野裕三の公式ブログです)
●活動の記録
主な受賞歴 + 各年の発表原稿
●著書
『現代の俳人101』(金子兜太編・共著、新書館) / 『メキシコ料理店』(中沢けい解説、角川書店)
●派生ブログ
・ケータイ写真日記
●関連サイト
兜太ワールド(金子兜太) / 豆畑の友(中沢けい) / 豆の木 / 週刊俳句
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《私はナイトガウンを来た母が庭を抜けて 湖の方に歩いていくのを見ていた。》 なんだか奇妙な短編集なのだ。変にざらりとしたものを残していく短編が多い。いや勿論、優れた小説は一様に何かざらりとしたものを最後に残していく。だがそれにしても、この短編集は奇妙だ。何か、ざらりとしたものを残すことだけが主眼になってでもいるかのような短編群。 訳者が適切な解説をしている。「具体的な意味」や「作者のメッセージ」よりも、「どのくらい説得力のあるイメー...
《蜘蛛たちが出てきてあらゆる コーヒーカップの上に巣を張る。》 小説家の書いた詩集というのは、詩人の書いた詩集とは違うのだろうか。詩人出身の小説家というのも昔からけっこういるし、あるいは詩人が書いた小説というものもある。ともあれ、似ているような違うような、この不思議な関係。そもそも、何をもってその人を「詩人」「小説家」と規定しているのだろう。小説と詩を両方書く人、という言葉がないから(あえて言葉を当てはめれば文人などの言葉になるのだろ...
つきし羽根みな寝静まるころに落つ いつまでも哭くなら涅槃図へお往き のどかにて棺の窓を開け廻る 思ひつくやうに灯の点く春の家 いくたびも蝶に生れて蔑まる 立て掛けし梯子の根付く萬愚節 汝が麻酔醒めたる頃か夕桜 春愁につながる紐やどれ切らむ 相席をまね壷焼を啜りけり なめくじり文字をさすらふことに覚め 番傘を開きしにほひ蛍闇 瀧落ちて水のあとさき狂ひけり のど飴の箱往き来せり蓮見舟 陶枕に夢の出てゆく穴ふたつ かはほり...
鳥帰る舌も筋肉なれば熱し 短日とはついに水辺を離れぬ犬 葱坊主ときにヤマトタケル疾る 石榴割れあとからあとから馬の音 おもいおもいに石温める西行忌 いちまいの白紙怖れる夏の家 人体に抜け道いくつ冬の月 階段の奥は深くて三島の忌 暗がりに階段多き二月かな ことごとく橋崩れゆく春の夢 眠れぬからこの世に落とす紙風船 白鳥来真夜中はスプーンに限る 四月とは馬の二頭の近さなる また一人鉄棒まわる石蕗の花 この作者の俳句は、時...