2009/06/29
マラゲーニャ・ガーコン
新宿末廣亭六月下席
六月下席は当然ながら30日の火曜日まで。生で小三治さんを見るにはもう行くしかないでしょ。そして扇橋さんと川柳さんも。彦いちさんを逃すのは残念なのだが、今回は昼の部の中入り前くらいに入る。一階は桟敷も含めて満席なので二階に通される。二階は空いていて一番前に陣取れたがここはすべて畳、足がつらいがスカートだし崩し方もままならぬ。こんな時はあぐらになれる男の人が羨ましい。
[昼の部]わたしの入った時刻からの出演 柳亭小燕枝 〜中入り〜 柳家小ゑん・のいるこいる ・柳家さん八・古今亭志ん五・鏡味仙三郎社中・川柳川柳(主任)[夜の部]古今亭志ん坊・柳亭こみち・花島世津子・柳亭市江・金原亭世之介・ホームラン・宝井琴柳・柳家小里ん・三遊亭小円歌・柳家小さん・桂南喬 〜中入り〜 柳亭燕路・ゆめじうたじ・柳家小袁治・入船亭扇橋・林家正楽・柳家小三治(主任)
小燕枝さんは途中から。わたしは慣れない席に体を馴染ませるのに懸命で、しかも腹ぺこで行ったのでお弁当を食べながらだったからあまり聞き取れなかった。空腹を満たしたらすぐに中入り。食べるのを待てば良かったのでは…。中入り後すぐの小ゑんさんは七夕の噺、恐らく「銀河の恋の物語」、現代的な織姫が面白い。さん八さんの泥棒噺も楽しく。昼の主任、生ガーコンを堪能して夜の部の前にお手洗いへ…と立ったら、間もなくソンブレロでメキシカンスタイルの川柳さんがギターを抱えて再び登場「すぐに立とうとしな〜い!」スミマセン(笑)。まったく元気なジイさんだ(愛を込めての褒め言葉)。夜の部のトリが小三治さんですからこの頃にはもう人であふれかえっていて、二階もびっしり、夜の部が始まる頃には桟敷席沿いの扉も開かれ、廊下での立ち見も二列になっていた。
夜の部。扇橋さん、聞き取りにくい小さな声なので場内中が耳に(笑)。笑ってはすぐに耳をそばだてて。そんなでも扇橋さんの、良い意味で気が抜けていてほんわかする雰囲気にすっかりファンになってしまった。なんでもないようでやっぱりなんでもなくて心深くに沁み入って。扇橋さんは歌う。
カモメはどうして飛ぶの? 虹を渡ってみたいから
虹はどうしてきれいなの? 坊やが空に描いたから
一部ですが、検索すると和田誠さんの作詞・作曲らしい。こんな歌をうたってこゝろに響くのは扇橋さんだからこそ。その後、小三治さんが扇橋さん作のさくらんぼの俳句の話をされて、ますます扇橋さんが好きになる。そう思わせるのは小三治さんが扇橋さんのことを大好きだからで、本当に良い関係でらっしゃる。先の歌も、歌好きの小三治さんが扇橋さんに「どんなふうに歌えば良い?」と訊くと「あまりうまく歌わないこと」と言われたらしい。さて、小三治さんの噺は「かんしゃく」、大満足で帰路につきました。
30日、火曜日。先日登録した「落語協会メルマガ」が届く。扇橋さんの俳句と小袁治さんとの会話が少し。あぁ、これが扇橋さんらしい俳句、ほんとうに。「なんでもないような、見たさまなんだけどねぇ」
落語、歌舞伎を観に行って良いなあと思うひとつは、季節感を感じるところ。肌で匂いで風景で食べもので…に加えて、人が演出する寄席や舞台で季節感を受けとる、これがまたなんとも言えず。
久し振りに嵌まったオマケ。伊右衛門手拭い この日で全6種類揃えちゃったよ。ぇへ。
画像:末廣亭と関係なく。うちの区のホールの掲示板に貼り出してあった絵
2009/06/26
カブキノコ
チケット購入話に引き続き、演目の感想を。
失礼ながらオマケ気分で観た日本舞踊「蝶の道行」でしたが、
書割が華やかで着物も綺麗で役者はたおやかで、思い掛けず楽しめました。
女形福助の演じる小槇の仕草の、いちいち愛らしいこと。
女性ってこんなに可愛いものなのか。目からウロコ、初めて知ッタワ。女人幻想。
本当にお人形さんみたい。これはまったく、人が演じる人形浄瑠璃…
って文楽もまともに見たことないですけどね、人形が恐くて。
調べてみると、この歌舞伎から浄瑠璃にもなったそうです。
さて、第一の目的であった「女殺油地獄」が始まりました。
こちらは人形浄瑠璃から歌舞伎になったそうな。
わがまま勝手で小憎たらしい放蕩息子が、なぜか愛らしい。
出来の悪い子ほど可愛いと云う親の気持ちが痛いくらい伝わってきて切ない。
母の愛、養父の情を知り、ゆえに人殺しの愚に落ちていくこの男、
心底まで悪人になり切れない故に、見ていて要領の悪い、間の悪い男に思える。
これがすっかりの悪人ならすさまじい恐い表現に徹するところだろうけど、
そうしないのは近松門左衛門や歌舞伎世界の良心というところか。
実は観る前には、もっと凄惨な内容かと思っていたのでした… はは。
このタイトル「おんなごろし・あぶらのじごく」ってインパクト大だもの。
とは云え見せ場である油塗れの殺戮シーンは、殺される者、殺す者、
それぞれの心理が息苦しいまでに表現されていて圧巻、迫力満点です。
この演目は一世一代、今回で最後という仁左衛門さん、
まだまだ十分いけそうどころか、まさに嵌まり役で年齢を超越している。
潔いのも良いですけど、もったいなく思えます。
いやぁ、面白かった。TVで観るのとは違うもんだ。こんなに面白いとは。
こちらの集中力も違うけど、着物でも実際の舞台で見ると驚くほど綺麗で、
役者の仕草や型にも惚れ惚れしちゃう。歌舞伎もこれから気軽に観に行こう。
まずは落語でお馴染みの「文七元結」「らくだ」「真景累ヶ淵」「怪談 牡丹燈篭」等々。
大好きな「中村仲蔵」の忠臣蔵五段目の定九郎もどうなのか興味津々だしな。
ところで「成駒屋!」などのかけ声、一幕見席でもあるんだと驚いたのですが
考えてみれば「時間があれば ちょっと芝居に」なんて常連さんは
それこそ一幕見席なんかでしょっちゅう観るのだろうしなぁ。
並んでいる時にご高齢の紳士方が「立ち見、OKよ」なんてふらりといらしたし。
(なもんで立ち見、わたしも負けちゃおれんと頑張れた)
寄席でもだったけど、ご高齢でも皆さんパワフルでタフでらっしゃる。粋です。
終演後、外に出ると夜の部目当ての人ひとヒトで歩けない程のごった返し。
これじゃ開場後すぐに座席はいっぱいになるだろう。
一幕見席はぶらっと入ってすぐに観れるものと思っていたがそうでもないのか。
それとも、人気のある役者が人気のある演目をやっているから?
… そうじゃない時ってあるの??
今のうちに建て替え前の歌舞伎座を楽しんでおきたいという相乗効果?
或いは… いつだってそんなものなのか。
だったら結論はやはり「前もっての3階B席確保」じゃなかろうか。
+
さて、まだ日暮れ前ですのでお次はINAXギャラリーへキノコを観に。
考えるキノコ:摩訶不思議ワールド
キノコって見えている部分は花で、生命活動の殆どが地下にあるそうです。
展示されているのはアクリル樹脂に閉じ込められたキノコ達、
似た姿の食用キノコと毒キノコ、植物図譜、キノコ切手、
アリス本(芋虫が茸に坐ってるからね)、キノコスケッチなど。満足。
↓
斜め向かいに移動 ギャラリー小柳で鈴木理策さんの雪 素敵。
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ハンズで買いもの
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メゾンエルメスのギャラリー(今回のはアイデアものだったし心動かされず)
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「くのや」で買いもの
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すっかり、疲れました。
歌舞伎を観る前に
Rumeさんに背中を押され、学校や父親からのタダ券鑑賞以来、
自腹で行ったことはない歌舞伎を観に東銀座へ。
以前に歌舞伎好きな友だちから聞いていた一幕見席狙いで。
その前に、下調べしてみれば座席の種類によって随分料金も違う。
てっきり高いものだと思っていたけど安い席もある。
「歌舞伎座さよなら公演 六月大歌舞伎」
料 金 (税込)
1等席 16,000円
2等席 12,000円
3階A席 4,200円
3階B席 2,500円
1階桟敷席 18,000円
これなら長い列を並んでも立ち見になる恐れのある一幕見席より
3階B席の方が良いじゃない。と、チケットWeb松竹にユーザー登録。
歌舞伎座のHPから、いざチケットを取ろうとしたのが3日前。
3階B席… ないわ。そりゃ、もうとっくにないわ。
残りの全ての公演日とっくに売り切れ。皆さん同じこと考えます。
う。じゃ…ちょっとお高めだけど 3階A席は? もちろんありません。
ぎりぎり2等席に残があったが、いきなりの万札越え。
4,200円と12,000円の間に何故これほどの深い川が。
立ち見覚悟で一幕見席に致します…。
狙いは仁左衛門の「女殺油地獄」に決まっているが、
流れで「蝶の道行」から。合わせて1,600円、安いよね。
幕見席発売開始時間の1時間前には着いたが、先頭の人からすでに立ち見決定だとか。
その前の演目から入っている人が、殆どそのまま居残るらしい。
なるほど、本日の最初から観ておけば良かったのか。
合計2,500円。3階B席と同じ料金。恐らくうんと早くから並んで、だろう。
なんか腑に落ちん。一幕見席のうま味がないやん。←言いがかり
良いわ、途中から立ち見で。と、今さらどうにもならない葛藤で結論に至る。
中には入れそうなので、このまま立ち続けはつらいなと悩みながらも頑張って並ぶ。
もうすでに足がすっかりお疲れなんですけど状態で、ようやくチケット販売開始。
ヘロヘロの足で4階までギクシャクヘロヘロ上がる。エスカレータ、ないのね…。
立ちっぱなしの棒足にはちょうど良い運動になったけど。
中に入ってみるとありがたいことに壁際に立ち見台があってみんなそこに坐っている。
もう坐るでしょ、もちろん。開幕ギリギリまで坐って歌舞伎座横で買った草大福を食む。
上演中も、幕が下がって次のセット替えまでの間が度々あったので
その度に坐り込んでいたから立ち見でも意外とラクに過ごせました。
一幕見席は柵に手をかけて見る人の前列と、後列になる立ち見台の2列になるのだけど、
殆ど坐っていられない柵側の前列がどちらかといえば人気だったのが不思議だ。
立ち見台は40cm程高さがあるので前に立つ人の頭が邪魔になることはまずないのに。
(肝心の内容についての感想はこの後で)
2009/06/12
共通感覚
Safariバージョンアップに驚く。iTunesのような機能。ソンナノ要ラナイケド 楽しいね Apple…と思ったのだが、すぐに固まって。これでは使えないと思って一晩経ったら環境慣れしたのかすっかり順調に。ナンなの。処理も早くなったみたいです。
iPhone 3GSの発表もありましたね。買い替えませんが。ケータイ機能が充実してこの先、ふと不安に思うのはちょっと道を訊こうとしたら「ググれ、カスッ!」と言われる時代になりはしないかと。やだ、殺伐〜。人は合理のみによって生くるに非ず。ただ、共通感覚って時代と共に変わるのよね。
写真は新しく仕入れたアプリPolarizeで。これからたっぷりこれで遊ぶ予定。
+
仁左衛門さんが「スタジオパークからこんにちは」に。柔らかな大阪弁が素敵。玉三郎もだけどこの方も客観的で理数な人に思えた(注:理数系 ≠ 客観的。それに玉三郎は客観的とはあまり感じない)。歌舞伎の人って意外とそうなのだろうか。「玉三郎は本気で孝夫ちゃんが好きだったに違いない」なる疑念がわたしの中で微かに宿っている。
+
夜。映画『小三治』を観るため「ポレポレ東中野」に。この映画館では最終日ということで上映前に監督さんのご挨拶があった。「ドキュメンタリーにはメッセージ性があったりするけど、この映画はただ楽しんで頂ければと思います」の言葉通り、客席からは笑いがもれる穏やかな内容。特にposesさんが興味を持たれていた扇橋さんの天然ぶりがとっても好かった。
池袋演芸場六月上席はやはり特別な顔ぶれだったらしく結構な話題だったようだ。寄席の楽しみにも改めて気付けたし行っておいて良かった。扇橋さん、小三治さんの出演される時もぜひ聴きに行きたい也。他の噺家さんもPodcastなどで随時チェックです。
2009/06/04
寄席昼夜
池袋演芸場 六月上席
【昼の部】12時開場 12時30分開演
開口一番 (柳家 小ぞう)『道具屋』
12:30 落 語 柳 家 喬四郎『稲葉さんの大冒険』
奇 術 花 島 世津子
13:00 落 語 古今亭 志ん丸『きゃいのう』
落 語 柳 家 喬之助『持参金』
漫 才 すず風にゃん子・金魚
落 語 柳 家 三 三『引越しの夢』
14:00 落 語 三遊亭 白 鳥『ナースコール』
漫 談 結 城 たかし
落 語 林 家 しん平『深海獣雷牙』制作秘話
15:00 —お仲入り—
落 語 入船亭 扇 辰『按摩の蚊帳(麻のれん)』
落 語 柳 家 さん喬『徳ちゃん』
漫 才 ホ ー ム ラ ン
16:00 落 語 柳 家 喬太郎『頓馬の使者』
【夜の部】17時開演 20時30分終演
開口一番 (三遊亭 歌五)『金明竹』
17:00 落 語 五街道 弥 助『鮑のし』
落 語 柳 家 一 琴『松山鏡』
奇 術 アサダ 二 世
落 語 初音家 左 橋『お菊の皿』
18:00 講 談 宝 井 琴 調『大岡政談 人情匙加減』
漫 才 笑 組
落 語 柳 亭 市 馬『夢の酒』
19:00 —お仲入り—
落 語 桃月庵 白 酒『代脈』
落 語 柳 家 権太楼『壷算』
俗 曲 柳 家 小 菊
20:00 落 語 五街道 雲 助『火焔太鼓』
どうです、この面子。昼席では、三三・白鳥・さん喬・喬太郎さん、夜席では市馬・白酒・権太楼・雲助師匠と。これだけ揃えられたらもう、昼夜通しで行くしかないでしょ。実質8時間だけど開場前に並ぶのに1時間(このメンバーでトリが喬太郎さんですからね)、その前にお弁当も調達して…と、なかなか夜型から抜け出せないわたしにとっては、のっけから寝不足気味でやや辛いスタート。
池袋演芸場は新宿末廣亭より狭くて、足した椅子を含めても120席くらいか。昼席でのお膝送りデビューの林家扇さんが「混み合っておりますので詰め合ってください、荷物は膝の上に置かないでください」、「えっ?」と思ったら背後から「膝の上は良いんだよっ」客席爆笑。二度目の説明時はやや詰まりながらもちゃんと言えたので客席から笑いと拍手が。すると再び背後から「なに拍手もらってんだっ」(笑)
にゃん子・金魚さんの漫才を冷やかして、後の三三さんが「どうもお見苦しいものを」続けて「次第にまともになっていくかと思えば次が白鳥で、トリがキチ×イです」(聞き違いだったらごめんなさい)。三三さんは思っていた通り見事な出来映え、白鳥さんには涙が出るほど笑わせて貰い、さん喬さんはさすがの腕に唸らされ、妙な噺でもないのになぜか奇妙さが漂う喬太郎ワールドに気付かぬ間に巻き込まれて昼席は終了。
夜の部。喬太郎さん目当てのお客が帰って70〜80%の入りからスタート、後半は90%くらいか。お目当ての噺家だけを見に来る方々が意外と多く、その潔さにちょっと驚く。今日の一番人気はやはり喬太郎さんで、喬太郎さんが始まる頃には立ち見も出て120%くらいになっていた。「喬太郎さん目当ての客が多い」と他の芸人さんに明らかで、さん喬師匠を前にしての主任(トリ)とは精神的にどうだろうか。もう慣れっこかな。
アサダ二世さんが楽屋入りしたものの体調不良ということで(大丈夫でしょうか)急遽、一琴さんの紙切りと左橋さんの声帯模写でコラボ。予定になかった事態なので切り絵はアリ物の道具を揃えてらしたのが如何にものアクシデントですが、お二人ともお見事な技で、客としては大いに楽しませて頂いた。
夜の部の前にお弁当を平らげた寝不足気味のわたしは、もうこの辺りで度々襲いかかる眠気に気絶寸前、眼もチカチカしてくる。「今、市馬さんだからっ。白酒さん!権太楼さんだからぁ、、」笑いたくても顔面筋が反応しなくなりつつ…、後半は気力との戦いとなりました。失神寸前な中、小菊さんの粋曲が夏らしくて清涼剤に。最後の気力を振り絞ってトリ、味わい深い雲助師匠の『火焔太鼓』を聴く。
早く寝たいくらいのグダグダの体で帰宅する。熱心な落語ファンは一日中居ても当たり前のようだし、実際かなりご年配な紳士方も平気なご様子でした。こちらは「もうこんなの無理」と思いながら、終わってみれば「あぁ 愉し」。朝型にシフトしてもう一度… そうやって嵌まっていくのでしょうか。落語の魔力、恐るべし。






















