幇間日記 慟哭編
「あ~ら こんち ご機嫌うるわしゅう」 呼ばれた先はいつもの茶道教授の自宅ビルで、中に入ると既にお仲間が揃っている。皆様いずれも還暦を過ぎた元麗人ばかりで、席に着く間もなく麦酒を注がれ、割山椒の器にあすなろ塩辛なんてのが盛られていて、とりあえずそれで一杯呑れと云う。 アタクシも昼間の酒が嫌いじゃないんで、かわるがわるお酌をして戴きながら呑んじまうんですけれども。 「で なんですがね 本日の趣向ってのはどんな按配ざんしょ」 訊くのも野暮ですが、でな...
「あ~ら こんち ご機嫌うるわしゅう」 呼ばれた先はいつもの茶道教授の自宅ビルで、中に入ると既にお仲間が揃っている。皆様いずれも還暦を過ぎた元麗人ばかりで、席に着く間もなく麦酒を注がれ、割山椒の器にあすなろ塩辛なんてのが盛られていて、とりあえずそれで一杯呑れと云う。 アタクシも昼間の酒が嫌いじゃないんで、かわるがわるお酌をして戴きながら呑んじまうんですけれども。 「で なんですがね 本日の趣向ってのはどんな按配ざんしょ」 訊くのも野暮ですが、でな...
信州の街道と云えば中仙道でしょうが、他にも三州街道(伊那街道)・善光寺街道・北国街道・甲州街道・千国街道(塩の道)・野麦街道・草津街道・飯山街道なんてのがありまして、なにしろ峠をひとつ越えればまったく違う風俗・文化ってなお国柄ですから、あっちこっちを隈なくご案内しないとボクの気が済まない(笑)。 故に 一日目は上諏訪「温泉寺(守屋貞治の石仏)」から諏訪湖畔「片倉館(ラドン温泉)」~下諏訪「うなぎの小林」~辰野「夜明け前・小野酒造」~高遠「健福禅寺...
我が西洋長屋のベランダには水槽が三つ在る。一つはメダカやフナの孵化用水槽で、採卵した卵だけを入れておく。 もう一つは緋メダカ&黒メダカと子ブナ用で、3年前に田圃で掬って来た黒メダカとギンブナが子孫を増やして、今は親子三代合せて120匹ほどが泳いでいる。 去年は産卵個数が減ってメダカは150匹ほどしか孵化しなかったが、冬を越して水ぬるむ頃に100匹ほど小学校に贈呈した。 ギンブナの方は二代目で、こちらは昨年夏に6匹の親から70匹の子供が誕生したのだ...
「Russet Burbank」と云う「男爵」が「Mayqueen」号に乗って長崎「デジマ」を訪れたのは、当時「トヨシロ」国を統治していた族長に対してキリスト教と欧米文明を授け、南米に於ける「インカのめざめ」がそうであったように、彼等をして植民地の奴隷と化した民の番人に「陶冶」しようとする意図があった為と思われる。陶冶(とうや)された彼等を「黄爵」と呼ぶのは黄色人種の支配者と云う意味だろうが、やがて彼等が東国から蝦夷地へと進攻し、未開の地に文明の...
長崎市長が暗殺された。加害者は自棄になって自暴に至った暴力団だが、彼は自分自身を最後まで被害者だと思っていた。「格差社会」と云う言葉が手垢に塗れて耳に馴染んでくると、あっても良い格差は努力格差だけだと言う当然の良識さえ覆って誰もが無関心になり、人々は我と我が身の安穏だけを必死に抱え込んで他人を顧みない。 右も左も判らぬ子供を窒息させて首を斬られた母親がいたかと思うと、一方で自分の子供に銃を向けて撃ち殺そうとする父親がいる。親殺しや子殺しは虐待の延...
え~ッ 何と申しましょうか。 事の次第は不明ですが、全国都道府県の各市町村には何処にも商工会議所なる団体がございまして、その中には必ずと云って良いほど青年部なる部会組織が形成されていたりするんですね。それはそれで過去の経緯があってのことでしょうし、今日の存在意義も確認されているのでしょうが、どうも傍から観ておりますと、総じて考えていることが皆さん一緒のようで、北海道から九州・沖縄まで何処も彼処も「町おこし」や「村おこし」で大騒ぎです。 信州では故...
千葉から初物の筍が届いたので、早速「若竹煮」と「筍御飯」を作った。いつものことだが作ったのはボクで、食べるのは家族である。ボクには殆ど、まるで、九分九厘、廻ってこない。 実に悲しい。 筍はご近所にもお裾分けしたのだが、或る御宅からお返しにと八重櫻の白梅酢漬を頂戴した。何かと訊ねると、去年の春に咲いた櫻を摘んで、梅干を作るときに副産物として採れる梅酢に漬けておいたものだと言う。 齢八十にならんとするお婆ちゃんが、これで櫻御飯を作ったら美味いからと微...
万葉集の時代から新古今に至るまで、恋は晩秋から翌年の春にかけてが旬であった。 寒い時季には家の中でじっとしている。鳥も魚もじっとしている。 夜闇の中、雪がしんしんと降る外を眺めながら、恋は静かに育まれ歌に詠まれたのである。 その精神文化は貴族社会に留まらず、やがて武家社会を経て広く庶民の世界へと伝播してゆく。 そして 今日 我々が先祖たちの遺した心の有り様を生で確かめようとするなら、京都や奈良の名刹や安土桃山期以降に建てられた城を訪ねるのがよろし...
ようやく旧正月を迎え、皆様には明けましておめでとうございます(笑)。 別に仕事に追われていたわけでもなく、ただいつものように呆けておりましたら、いつのまにか時が勝手に流れていたというような按配で、本年もよろしくお願いいたします。
イヴから続いた戦争のような騒ぎがようやく収まり、今は平和に開けたてのサバ缶を肴に芋焼酎を呑んでいる。 やはり 誰がナンと言おうが サバの味噌煮は開けたてに限ると思う。 今年のクリスマス両日に作れと命じられた料理は、甘海老のカクテル・ローストビーフとスモウクトサマンのサラダ・オイルサーディンとイクラとサラミとカマンベ-ルとクリームチーズとオリーヴとなんやかんやのカナッペ・芽キャベツとブロッコリーとニンジンの温野菜・塩漬豚肉と蕪の煮込みスープ・ロース...
伝説の居酒屋が松本に在る。 いつ行っても暖簾は出ていない。 だから、知らない人は間違っても入って来ない。 店の中は四人掛のテーブルが五つ。 奥に六畳ほどの小上がり。 入口右手には「焼きソバ」を商っていた時代の名残りだろうか、それなりの設備を持った厨房があるのだが。それだけをとってみれば何の変哲もない店である。 だが、しかし 事前にその佇まいや主人の人となりを聞いてはいたのだが、実際に足を踏み入れてみると其処はまさに「異形」の空間で、生半可な態度と...
蕎麦を地とすれば、汁は風である。 蕎麦を陰とすれば、汁は陽である。 蕎麦を「阿」とすれば、汁は「吽」である。 蕎麦を塩で食しても、それは同じである。 蕎麦を水で食しても、また同様である。 作り手が感じる蕎麦の味と食べ手の感じ方は違う。自分で打った蕎麦を食べて誰もが旨いと思うのはその所為だが、プロが打った蕎麦をどのように表現すべきかは常に難解で、舌と歯と喉と鼻で感じた微妙な味わいを明快に一刀両断して、他言を寄せつけない程の切れ味を言葉に持たせようと...
和茶美庵の公式見解に依ると、二日間で訪れた店は「浅草・神谷バー」「浅草・松風」「根岸・鍵屋」「浅草・飯田屋」「神田・まつや」「日比谷ガード下の屋台風居酒屋」「銀座・樽平」の七軒であるらしいが、ボクだけに限って言えばこれに「浅草・弁天山美家古寿司」と「津田沼・炭焼鳥新」と「天下一品・神田店」と「御徒町・大統領」が加わって都合十一軒と言う勘定になる。この十一軒で酒を呑まなかった店は一つとしてないから、おそらくボクの肝臓は寡黙なる絶叫を繰り返して瀕死の...
え~ッ ナンでございます。 秋も深まって参りまして、これからは酒も肴も美味しい季節でございますけれども…。 そこで「和茶美庵」に集う方々にチョイとお知らせがございまして、此処で言うのもナンですが、浅草あたりで鍋でもつつきながらイッパイ呑もうじゃないかってな、いたって安気なご相談でございます。 時は来週十一月十八日(土)。午後一時半からを予定しておりまして、今のところは「旧・Himajin」さん・「Poughkeepsie」さんに涙腺子が参加する予...
紀伊と尾張は大納言だが水戸は中納言で格下である。その水戸から出た慶喜が最後の将軍になった背景にはそれなりの深い理由があったのだが、紀伊の殿様はどちらかと言えば開国派で、維新に際しては積極的に文明開化を受容しようと試みた。紀伊府中では諸外国から持ち込まれた食文化をいち早く取り入れ、新たに開拓した墾田に今で言うスパイスやハーブを植えて、その増産に努めたのである。その業績を称えた碑は彼の地に現在も遺されているが、一般の建造物と違うのは「建立」の字を地元...
KWに「佐々木」のことを書いたら、数日後に関心空間でおなじみの我が友が自転車に乗って来たそうだ。我が友と云ってもボクにとっては大先輩だが、彼はボクのことを「我が友」と言うので、ボクもまたそれに倣うのが礼儀だと思うから友と云う。それはともかく「雲衣。」氏が訪れてから数日経って、ボクはうら若き麗人を伴って「佐々木」に行った。実はその前に、松本に戻ってきた「三城」に寄って久しぶりに女将に挨拶して来たのだが、「佐々木」では鴨と地鶏の燻製を肴に「夜明け前」...
むかしむかし、西方浄土・ガンダーラの近くの或る村に美味しい「デン」を食べさせる寺があったそうで。村人たちは野良仕事が終るとその寺に通い、口々に「厚揚げネ」とか「爆弾にして」とか「やっぱ玉子かナ?」なんて言いながら和尚さん手作りのデンを食べ、一日の疲れを癒していたんだそうですが…。或る日のこと、その寺に山の向こうに棲む巨大な龍が現れて「ボクにもデンくれる?」と強要したんですね。もし断って火でも吹かれたら大変ですから、和尚さんは村人たちに分ける分を全...
高校必修科目未履修問題は10月24日の富山県高岡南高校から端を発し、昨日(28日)現在で公立私立を合せて全国41都道県396校に波及した。履修不足の教科・科目は世界史・日本史・地理・情報・公民・現代社会・倫理・保健体育・家庭など。形態としては、必修科目を選択科目扱いにしたことで生徒が履修していなかったり、学習指導要領に規定されている授業数に不足していたことが明らかになっている。これは、実際には事前に各校の校長が各都道府県の教育委員会に提出した教育...
縁有ってそれなりの仲になった女と別れる。これほどツライことはございませんが、情が深まれば深まるほど別れた方が互いのためだと思えるようになる。オンナの身体てぇのは不思議なモンで、初めのうちは固く尖っていた肩が肌が馴染むに連れて丸く柔らかくなってくる。向こうも今宵は貴方に抱かれますなんて想いがあるんでしょう。ひとつ褥に身を横たえると、吸いつくように擦り寄って腕の中にすっぽりと納まってくる。そこまで辿り着くには其れ相応の時間がかかるわけですが、どんな...
イー・ホームズの藤田東吾氏が首相官邸に直訴したことは、知っている人は知っているだろう。彼は偽装疑惑に連座した被告人の一人であるが、一方でこれまで司法・行政・民間業者が如何に陰で手を繋いで国民の生命を犠牲にしながら利権と暴利を貪っていたかを暴露し、彼らを痛烈に批判した。その経緯は今日付の「きっこの日記」に詳しいが、彼の行動を客観的事実に基づいて真摯に報道するメディアは皆無に近い。これは戦時中の報道管制と同じ権力への迎合であり、大マスコミカルテルによ...
松本を訪れた友人二人と行きつけの居酒屋に行ったら、「信州サーモン」なる刺身を出された。「信濃雪鱒」は知っていたが、これは初めて。「何これ?」と訊いたら、ブラウントラウトとニジマスを掛け合わせた新種であると言う。脂は乗っているがサッパリとした風味で、川魚特有の臭みもまったくない。わざわざ東京から来る友人達をどうやってもてなすか。一ヶ月以上も前から予約して、馴染みの亭主と如何に秋の信州を満喫してもらおうかと考えていたが、どうやら彼は初めからこれをメイ...
今年で三回目となる「そば祭り」に今年も行ってきた。出店しているのは全部で16。北海道から3店。福島県が2店。山形・茨城・東京からが各1店。長野県内からは8店である。仮設テントではまともな蕎麦を出せるわけがないので、当然だがまともな蕎麦屋は此処には出て来ない。故に、これまでもそうだったが、今年もまた素人による素人の為の「そば祭り」になった。だが、それを十分承知の上で、不味い蕎麦を不味く食べてみようと思う方には実に面白いイベントであって、飽きることが...
「ちまんぐ」とは面白くないとかつまらないと言う意味の方言らしい。同様にいないとかないを「見ず」とも言う。太平洋に面した小さな村は過疎化が進み、今では残された年寄りたちが近海の鯖や鰯を獲って何とか生計を立てている。村に一軒だけある食堂を訪れると、其処には朝から鯵のタタキや鰯のナメロウを肴に酒を呑む爺さんが何人か集まっていた。「あだどけからきだ?」ひどい訛だったが、たぶん「あんた何処から来た?」の意味だろうと推測して「京都からです」と応えると、爺さん...
亀公が逃げた いつかこうなると予測はしていたが 明らかな逃亡である こちらとしてはキツネに摘まれたような心持だが 本人がいないのでその動機を聞くこともできぬ 合点がゆかないとはこのことだ ボクだけならともかく 今回の一件では家族も皆怒っている いったい何処に雲隠れしたのか まったくもって腹が立つ *** 3年も飼っていたのにナ ボクの可愛いミドリガメ・・・
へ~ッ そうなの ちっとも知らんかったン ってなことで 関空もコミュニティを創るってな噺があるそうで、或る人からそれじゃあ例の「和茶美庵」をこっちにもこさえたら?なんてな意味不明のお誘いを受けまして、何がナンだか良く分かりませんけれども、αとかβとか云う得体の知れないアメーバみたいな組織に登録してしまったボクなのでした(笑)。 あっちこっちのサイトに同名のコミュを設立するのは、将来はこの組織に加わった同人諸氏諸嬢を機軸に新たなお笑いカルト集団を...
古来幇間(タイコモチ)と云うものは、旦那に声を掛けられると何処にでもすっ飛んで行ってご機嫌を伺ったもんでして・・・これはもう何がナンでも行かなきゃいけない。途中で遣り残した仕事があろうと、女房子供が騒ごうと、大家が家賃の催促に来ていようと、そんなこといちいち構っちゃいられない。 と云うようなワケで 昨日はいつもの蕎麦屋で「雲衣。」さんにご馳走になったりしましてね。近いうちに「拾得」さんにも来ていただいて、三人雁首揃えてシコタマ呑もうってな話で・・...
一年二年と言うのはアッと言う間に過ぎてゆくもんで 体調を崩してからは殆どご無沙汰でしたが このところ 「雲衣。」さんに会ったり 「Poughkeepsie」氏が松本を訪れてくれたり 「Himajin」さんや「拾得」さんからメッセージを頂戴したりして 皆さんから「関空」への復帰を促された次第でございますけれども・・・ 久しぶりに覗いてみたら ナンだか浦島太郎になったみたいで すっかり様子が変わってまして 何がナンだかちっともワカラナイ(笑) 何がワ...
チョイと余所に厄介になってたら『日記』ですって。 最近の関心空間に足りない要素は何かって思ってたら、やっぱり判ってる人は判ってたってことでしょうか。 これからはこちらの日記の方が関空のメインになるような気がしています。